見出し画像

「1滴で味が激変!」焼酎ブレンド体験セミナー(SHOCHU NEXT×六調子酒造)

お酒をブレンドしたこと、ありますか?
グラスの底にちょっと残っているのに「まあいいや」と別のお酒を注いだことはありますが、「真面目にブレンド」をしたことはありませんでした。というか、お酒を混ぜることはNGだと思っていました。

しかし、焼酎の世界では、ウイスキーと同じで「ブレンド」の果たす役割が非常に大きいのだそうです。

今回、そんな焼酎のブレンド体験をできると聞き、焼酎メディア「SHOCHU NEXT」と「六調子酒造(熊本)」によるオンラインセミナーに参加しました。

ビーカーにスポイト、まるで実験キット

画像1

こちらがセミナー中のテーブル。ブレンドセット(お酒・ビーカー・プラカップ・スポイトなど)です(無料!!)。これから理科の実験をはじめるような光景にわくわくします。

今回の講師は熊本県で球磨焼酎を醸す「六調子」の池邉社長(ブレンダー兼)と、ミクソロジスト(バーテンダーのさらに先進的な存在だそう)の南雲さん。

画像2

(こんな2画面のスピーカービューで進みます。左の南雲さんの背景がお店なのか、重厚感があふれています)

焼酎の世界は「ブレンド」が重要

画像3

まずは、六調子酒造さんの池邉社長のレクチャーから。球磨焼酎(という産地呼称)というと、米焼酎なのですっきりまろやかなものが多いと思ってましたが、六調子は長期熟成による深い深い味わいが魅力。

六調子酒造さんの酒造りには、最低7年という熟成期間をはじめ、木樽・ホーローの使い分けなど繊細なこだわりが多々。中でも特に「ブレンド」にも非常に力をいれています。同じ蒸留酒のウイスキーでは「ブレンダー」が最高位に定められるほど、重要な製造過程なのだとか。

六調子の池邉社長曰く、ブレンドの楽しさは「寝食を忘れるほど熱中してしまう」とのこと。さっそく楽しみます!

まずはブレンド前の焼酎をテイスティング

画像4

ブレンドの前に、まずはテイスティングで「もとお酒の味」を知ります。

セミナーで学んだテイスティングのコツ!

香りをリセットするときは「自分の腕をかぐ」
焼酎って香りが強く「カッ」となり、連続して匂いをかぐとよくわからなくなります。そこで間に「腕」を嗅ぐと、不思議にリセットされます。これ、やってみて驚いたのですが本当にリセットされます。
口にした焼酎は「舌で押しあげる」こと
よくワインなどでは空気を含んで「じゅるじゅる」して味をみます。しかし蒸留酒では、口内のお酒を舌で「上に押し上げる」ようにするのだそう。そうすることで焼酎の香りが鼻にのぼってきてよくわかるのだそう。

今回のお酒紹介(まずはブラインドで味わい、その後種明かしがありました)

1:六調子 赤
米焼酎/アルコール28度/13年熟成
今回の「ベース」となるお酒。香りは複雑で、しっかり。さすが焼酎。味わいも強い、かと思いきや後半がやさしく、すーっと消えます。なので印象は繊細。
社長の話によると、和食にあうお酒として設計されているそう。
2:くまそたける
米焼酎(すこし麦焼酎ブレンド)/アルコール25度/7年熟成
今回の中では「もっとも若い」お酒。味は…結構違います。むわっとしているというか、バターというか、独特の風味。おいしいけど、特殊な印象。
3:古代一壺
米焼酎/アルコール38度/11年熟成
30年、13年、11年もののブレンドです。香りはがっちり刺激的なのですが、なぜか「熟したフルーツ」のニュアンス。とくにレーズンのように「枯れた」風味があります。これ、好きです。
4:太鼓一尊
麦焼酎(米麹)/アルコール40度/14年熟成
これだけ「麦」焼酎。だからなのか、1-3にない「はっきりした甘み」があります。キャンディーのようです。米焼酎のほうがおしとやかで、麦になるとガンって個性が前にでるのですね。

焼酎の味は「1滴」で変わる!

画像5

まずはブレンドの前のレクチャー。なぜか今回のセミナーには、用意するものとして「塗り箸」がありました。実は、「焼酎Aを少しつけた塗り箸を焼酎Bの入ったコップにいれてひと混ぜするだけで味がわかる」とのこと。

これが、本当に変わるんです。コップ一杯に対して、箸先を濡らした分を加えるだけで、結構印象がかわる、なんなら香りが消えたりもする。すごい、焼酎ブレンドの世界、思ったより繊細です!

自由にブレンドを楽しんでみよう!

ここからは「自由にブレンド」タイム。1の「赤」を中心に、他の焼酎を加えて楽しみます。

画像7

(今回は原酒のブレンドではなく、すでにブレンドした商品同士のブレンド。そのため「質が上がる」というのではなく、「変化を楽しむ」ことが目的です。と、いうことを池邉社長は「モーツァルトの手が小さかった」という独特な逸話を交えてお話しくださいました。小さい手で弾ける世界を楽しもう)

しかし、急にブレンドといわれてもどうしていいかわかりません。

池邉さんからのアドバイスは「目標をもつこと」。たとえば、今日の夜どんなメニューにあわせたいかを考えてみて?というものです。

今晩は…一昨日に作ったカレーです。よし、カレーに合う酒を目指そう。

カレーに合うお酒は複雑味のあるもの(日本酒の場合)と聞いたことがありますので、とにかくいろいろ味を重ねてみます。

画像6

01赤(10ml)を基本に、03古代一壺(3ml)、04太鼓一尊(3ml)

…なんか、くさい。要素過多なのか「むわっ」としました。

そこで02をスポイトで足していくと…5滴目で急に「おいしく」なります。すごい、1滴の差でぜんぜんかわる!調子に乗ってもっと入れると、今後は逆に「深み」が減っていきます。

画像8

(一滴のパワーって、すごい!)

オンラインセミナーらしく、「このブレンドがおいしかった」というコメントがコメントで飛び交っていたのですが、その中に「1と2の同量ブレンドがおいしい!」との声がありました。「これは!」と思いこっそり真似したところ、最高においしい。センスの差を感じます。

プロのブレンダーが混ぜると…南国フルーツに変身!

画像9

「ブレンドに正解はない」とのことですが、それでもプロのブレンダーの味は気になります。セミナーの後半では池邉社長によるブレンドも紹介されました。

01赤(25ml)/02くまそたける(15ml)/03古代一個(25ml)

甘みが、すごい!一気に甘くなります。

ブレンド前にそれぞれをテイスティングしたはずなのに、どれよりもはっきりとした甘みを感じます。フルーツです、それも南国のパインのような、熟しまくって腐る寸前のような、ヌラヌラとした甘みです(でもおいしい)。さらに最後に柑橘系のほろ苦さもあり、完全に別のおいしいお酒に変身しました。

ちなみにですが、こっそり04太鼓一尊を数滴垂らしてみると、急に口当たりがざりざりとして馴染まなくなります。

すごい、焼酎のブレンド。本当に繊細だし、がらっと味がかわります。

焼酎の奥深い世界へ 

画像10

(途中でお湯割りの話になり、我慢できずお湯割りをすすって視聴していました。お湯が先、がセオリーとのこと)

画像11

最後に池邉社長からのコメントをいただきました。

「焼酎のブレンドには無限の可能性があります。しかし、これにハマると寝食を忘れて身体を壊してしまいますので、健康に留意してお楽しみください」

「寝食を忘れて」を何度も言うあたり、本当に寝食を忘れてブレンドされているんだろうな…と思いました。

どちらかというと「強い」イメージのある焼酎が、実は1滴レベルで調節された繊細なバランスの上にある。非常におもしろかったです。

そして今回の「六調子」、とろっとした熟成感がたまらなく美味しかったです。

もちろん、お酒を飲みます。