なぜ、小山商店は「日本酒の聖地」と呼ばれるのか?(酒屋さんレポート)
日本酒好きの間で「聖地」と呼ばれる酒屋さんがあります。
東京・多摩市にある「小山商店」。都内には有名なお店、品揃え豊富なお店がいくつもありますが、中でも小山商店は特別な存在。多くの人がわざわざ「お酒を買う」ために足を運びます。
なぜ、小山商店は聖地なのか?ただの酒屋さんなのに。
疑問を抱いた僕は、日本酒ファンのみなさまに「小山商店」とはなにがすごいのかを聞いてみました。
アンケートより
「ワクワク感かなーと。これは口で説明するより実際に行って感じてほしいと思います」
「いつ行っても必ず欲しいお酒が見つかるはずです」
「大人のワンダーランド」
とにかく愛されていることは強く伝わってきます。
とりあえず、実際に行ってみることにしました。
小山商店レポート、日本酒ファンのアンケートコメントともに紹介します!
※小山商店の撮影は許可の上行っています
日本酒の聖地へ!
京王線・聖蹟桜ヶ丘にきました。
流れる川の音とか、鳥のさえずりがやけに大きく聞こえます。
空が広い。人気もまばらです。
アクセスは決してよくはありません。駅から歩くこと15分ほど、のどかな風景を歩くと「聖地」にたどり着きます。
ーーでかい。あたりの建物のなかで、いちばん大きい。写真は道を挟んで撮っているのですが、全然入らない。
すぐ近くに駐車場もあり、ほぼ満車。(駐車場にもお酒の名前が)
(有名銘柄の名前がいたるところに)
そして、お店の前までくると、人がたくさん。さっきまでののどかな雰囲気からは信じられないほど、次々と人が訪れては去っていきます。突如、ここだけめちゃくちゃにぎわっています。
(入口にはマスク着用のお願い。そして「ない人はこちらを使って」と配布までしていました!)
店内はとにかく広い!お酒がびっしり!
広い!!
「うぉーーー!」とテンションが上がってしまいました。すごい広い。そしてお酒の密度がすごい!多すぎる。とりあえずきょろきょろしながら徘徊したくなります。
アンケートより
「お酒の取扱い量が半端ないこと。日本酒に関していえば、流行りどころのお酒で買えないお酒はほぼないんじゃないでしょうか」
「他の酒屋の四倍ぐらいありそうな広い店内に、所狭しと並べられた酒瓶。取り扱ってる銘柄も多く、まさに、お酒の博物館」
メインはどーんと横に広い長方形の部屋(外観の写真に写って建物)。その奥に別館のような部屋がくっついています。
この部屋が、日本酒ファンから聞いた「行くべき部屋」。
アンケートより
「入り口はいって真っ直ぐ奥に進んだところに、酒器が陳列されている部屋があります。その手前の冷蔵庫に、人気商品が陳列されることが多いので、どれを買ったら良いのか分からない場合、そこから選んだらいいのかもしれませんね!」
ここが奥の部屋!雰囲気ががらっと変わります。
(あ、好きなやつです)
壁一面の冷蔵庫には、一升瓶や贈答用がメイン。
とにかく、どこを見ても日本酒。
そして多いだけでなく、ひとつひとつがすごい。多くの地酒専門店さんで「うちの主力はこれ!」と打ち出すような人気の銘柄が、いたるところに。
オールスター戦を見ているかのよう。
(話題の「醸し人九平次の酒米」も売っていました!)
「いつか見つけたら絶対買いたい」と思っていた、そしてそれを目的足を運ぶようなお酒がどんどん目に飛び込んできます。あれもこれもほしい。
アンケートより
「日本酒は銘柄ごとに取扱いの酒屋が異なるので、欲しい銘柄がある酒屋に行かなければならないです。小山商店は取扱銘柄が他の酒屋に比べて圧倒的に多いので便利です」
ちなみに小山商店さんのホームページでは、お酒は常時1000種類だそうです。
あそこにもここにも日本酒が!宝探しの気分
店内の一角。壁面だけでなくいくつもの棚がならび、上から下まで、側面まで「お酒を置けるところすべて」に並んでいます。これが楽しい。
「お、ここにもお酒があるのか!しかも美味しいそう!」と、宝探しの気分。
棚と棚のデッドスペースとおもわれる空間に、手作りらしい棚が。そして他のお店なら一等地に並ぶようなお酒がびっしり。
なんでここに?というところにも。
店内2週目で見つけたお酒。これ、棚の「裏側」です。
部屋の奥にはさらに冷蔵庫の小部屋。隠しステージのようでテンション上がります。
これは楽しい。グルグル歩いて、「こんなとこにも!」「ああ、これも買いたい」と、どんどん購入リストが増えていきます。
お客さんを見ていたら、普通に1万とか使っているひとが結構いました。日本酒ってそんなに高いものじゃないので、1万って結構買わなければいけないのに…と思っていました。でも今はわかります、これは買いすぎる。
しかも、これらのお酒が、どんどん入れ替わるらしいのです。
アンケートより
「多くの人が訪れて、たくさんの買い物をしていくので、一週間行かないだけで、陳列棚が様変わりします。毎度行くたびに、新しいお酒、いろんなお酒の出会いがあるので、長時間居ても飽きません!」
有名なお酒も大手のお酒も若手のホープも!
また、見ていて「いいなぁ」と思ったのが、商品の並べ方。大手蔵のものから、新進気鋭の蔵のお酒、地域で愛されるお酒、すず音みたいなスーパーで見かけるものまで、同列で扱っているというところ。
聞いてみると「壁面はざっくりと北から南ですねー。あ、でもなんとなくですよ(笑)。特に冷蔵庫は届いたものからどんどんいれています!」
とのこと。いい意味でお酒に対してフラットなんですね。
アンケートより
「小山さんの魅力はこれから育っていく無名の蔵元さんを育てていく姿勢かと思っています」
「世間ではレア酒と呼ばれるものが手に入る可能性がある、というところでしょうか。抽選やってたりするので、遠いけど行ってみよう!と思いますね。」
「お得意様でなくても入手困難な抽選に参加できたり、タイミングによっては陳列棚で珍しい日本酒を見つけ買うことができるなど、初心者にも優しいです」
カップ酒コーナーもありました!
冷やして飲むきれいなお酒が多いかな、と思っていたのですが、熟成酒コーナーも。ひとつの店でフレッシュも熟成も見られるのはうれしいです。
駄菓子や卵も?親子連れできても楽しい
酒屋さんって、おじさんしかいないイメージがあるのですが、小山商店にはご家族できている人たちが結構みられます。
そんな子どものために、お店の一角には「駄菓子コーナー」が。
「お父さんがお酒を選んでいる間に子どもたちが遊べるようにって」と店員の方。いいなー、そしてシンプルにほしい。
(推しのみりんを酒屋さんで見るとなぜか嬉しくなります)
それに卵や調味料も。「うちは昔からのいろいろな人のお付き合いがあるので」とこちらも店員の方。小山商店の創業は1914年。「日本酒の聖地」以前に、この地の人々に愛されてきた生活の中心だったのですね。
おすすめは平日。店員さんと話しながらじっくり選んで
(最後に、焼酎派の方へ焼酎コーナーをお届けします)
僕が訪れたのは土曜日の午後。いれかわり立ち代わり人が入り、レジでは会計の列が途切れないほどにぎわっていました。(朝は行列ができていたそう!)
お店の人は結構人数がいましたが、みんな忙しそう。
しかしその間でも、お酒の質問には快く答えてくれました。
(写真は恥ずかしがってダメでした)
これ、もっとゆっくりお話聞いたら面白いんだろうなと。
アンケートより
「お店でお酒を買いながらスタッフの方々のお話を聞いてみると魅力がわかるかと思います」
「土曜日、日曜日は比較的混んでいるので(開店時は特に)、ゆっくりと見たいならば平日がオススメです」
「特にどの日本酒を買えばいいかわからないという人は会長さんにこんな感じのものが欲しいなどと相談すれば、合ったものをいろいろと勧めてくれます」
小山商店は、通いたくなる酒屋さん
この日、小山商店さんで購入したお酒はこちら。
左から
「中島屋(3年常温熟成)」
「せんきん hope!」※ステイホームの支援酒なのだそう。
「超 王録」300ml瓶。このサイズがあるのはうれしいです!
「大信州」こちらも300ml瓶
「大山 アマビエラベル」1合(180ml)
当初は、1-2本くらいかなと思っていたのですが、気がつくとあれもこれもと買っていました。(2回レジ行きました)
小山商店、楽しいです。
普段、僕が酒屋さんに行くときは「お酒を飲もう」→「酒屋さんで買おう」→「どのお店に行こう」というふうに考えます。酒屋さんにそれぞれ特徴があるので「このタイプのお酒の気分だからこのお店」という具合に。
ところが、小山商店は逆。
お、こんなのもあるんだ!
こっちにはどんなものがあるかな?
のように「お店を歩く行動」自体が楽しくて、その先に「今日のお酒」がある。ひょっとしたら飲んでいる時より楽しいかもしれません。(祭りの準備が楽しい的な、ショッピングという行動そのものが楽しいみたいな)
買ってきたばかりのお酒は、まだ全然空いていません。
しかし、もう買いに行きたい。
日本酒の聖地、すごいです。
今回小山商店のアンケートにご協力いただいたみなさん
marieさん/パストライザー岩男さん/Motoさん/ふかもすさん/super_dryagencyさん/(twitterコメント引用)類的酒場の放浪日記さん