【polyphony】 元「鎮守の森」の名物店長・竹口さんの新しいお店は「野菜×日本酒」
「酒徒庵」「鎮守の森」と、日本酒好きの間で知られる「隠れ家的なお店」で活躍していた竹口さんが、3月に新しいお店「polyphony」(ポリフォニー)を始められたと聞き、お邪魔してきました。
竹口さんの印象といえば、お酒の自家熟成や、細かな温度設定、多様なグラスの使い分け、注ぎ方による味の違い、そして一見「THE 居酒屋メニュー」なものとのペアリングなど「日本酒居酒屋をとことんマニアックに尖らせた人」です。どんなお店になっているのか、楽しみです。
地下の隠れ家→高台の光あふれる店へイメージチェンジ
場所は四谷駅から徒歩10分弱。閑静な高級住宅街にあります。
あまりの変化ぶりに驚きました。「地下の暗いお店」だったのが、「光あふれるさわやかな空間」になっていました。本当はこういう趣味だったのか。
(参考まで、鎮守の森時代の写真です)
テラス席なんてできているし、カフェ営業もしているので外国の方がパスタを楽しんだりしています。当たり前ですが、完全に、別のお店です。
(竹口さんと白築さん。鎮守の森からのコンビです)
聞くと、建築事務所の社員食堂として造られたところを、そのまま居抜きで借りているそう。(事務所自体の計画はなくなったとか)
Polyphonyは「野菜×日本酒」のコース
(料理名ではなく素材を書くタイプのメニュー)
新しいお店の大きな特徴が、肉や魚、卵を使わない「ラクト・ベジタリアン」が基本だということ。完全ヴィーガンにも対応しているそうです。
麻婆豆腐が人気だったお店の方が、ベジタリアンに?
さっそく、日本酒とのペアリング(日本ワインも可)コースをいただきます。
野菜・日本酒ペアリング一覧
新玉ねぎのポタージュに、鎮守の森でも1杯目の定番だった誠鏡の活性。
3種のじゃがいもとその他の野菜たち。
合わせるのは阿部勘の試験醸造です。
次は、きんぴらゴボウの再構築。お酒はかたの桜 生酛の熱燗です。パセリの風味と牛蒡の地味が、熱燗に溶けてじわじわと膨らみます。食中酒ってこういう組み合わせすると最強だと思います。
菜の花・ゴルゴンゾーラとメイプルシロップと、新政の亜麻猫。
菜の花の苦味とチーズの塩味とメイプルシロップの甘みが、新政の甘酸と合います。すごい、料理とお酒の味の凸凹がちょうあわさって、口の中できれいな球になる感じです。
楽器政宗もいただきました。グラスがあくと勝手にどんどん次がくるシステムは健在です。同じ料理でもペアリングのバランス(先程の凸凹の組み合わせ)が微妙にかわり、また一から楽しめます。
天然酵母のパンに花巴の水酛×水酛。
びっくりしました。バターを塗って、食べて、濁ったお酒を飲むと…ジャムバターになるのです。小麦のふわっとした香りがすごく合います。
「いい野菜がはいったから!」ということでいただいたほうれん草とかぶ。
アスパラ。
〆は高菜のパスタ(寺田本家のお酒を使ったソース)と月山。
野菜だと思ってなめていましたが、ボリュームがすごいです。そしてお酒もどんどん出てきます。
竹口さんが「料理人」に転身?
一番驚いたのは、店主の竹口さんが「キッチン」に入っていること。これまでは料理人さんが別にいて、その料理とあうお酒を提供する「お酒番」という存在で有名になった人です。
実は「鎮守の森」のとき、不定期で通常営業時間後に「竹口さんが野菜料理をだす」という催しをされていました。
そのときの写真です。
「鎮守の森」では定期的開催していた、さまざまなジャンルの名店とのコラボイベント(そのお店の料理に合せて日本酒を出すといったもの)を通して、シェフたちの食材へのアプローチや、食材そのものの面白さ(野菜ってすごい!)に惹かれた、というようなことを、その時少し聞いた覚えがあります。
鎮守の森のスピンオフ、のような取り組みだと思っていたのですが、それがメインに昇格したのですね。
お酒の提供は基本的に白築さん。
「まだ少し固い味ですので高さを出してグラスに注ぎます」といった、竹口さんイズムが要所要所で見れてとても楽しいです。
無理のない、やさしいペアリングを楽しむ
「日本酒と野菜のペアリングって、やさしい」です。
帰り道くらいで、じわじわ思ってきました。
これまで「鎮守の森」では、料理の個性とお酒の個性をバチっと合わせる、口内調理を前提としたような「強烈なペアリング体験」でした。
polyphonyは、野菜料理とあって料理は基本的に優しい、滋味深い味わい。だからか合わせる日本酒も尖った個性のあるものより、それ自体でもするする飲める、きれいでやさしい味のものが多い印象。
そしてそれらが「無理がなく自然につながる」。剛から柔になった印象です。
とにかく、米と野菜って、すごいです。
(オリジナルロゴは「野菜」と「酒」、あと竹口さんのオリジナルキャラクターが混じっています)
竹口さん、白築さん、ごちそうさまでした!
https://www.facebook.com/polyphony2021/
もちろん、お酒を飲みます。