「獺祭BAR」レポート。東京・新丸ビルの期間限定バーで、光るグラスの日本酒・焼酎を
現在、「獺祭」の旭酒造さん(超有名な酒蔵さん!)が期間限定のポップアップバーをやっているらしい、そう聞きしました。獺祭はすでに「自社ストア」もあるのに、それとは別に? 場所は東京駅目の前の新丸ビル? このコロナ禍に…?
噂によると「磨き二割三分」(高いやつです)などがワンコインで飲めるらしい、そしてグラスが光るらしい…? とにかく、行ってみます!
※取材は2020年末に行いました。緊急事態宣言により一時営業を中止されていましたが、解除されたため公開します。
山の中をイメージした真っ暗なバー!
場所は東京駅の目の前、新丸ビル。7Fは飲食店フロアとあり、多くのお店が集まっています。
「のれん」というよりも「暗幕」の方がしっくりきそうな布をかきわけて入店します。
…暗いです。かろうじて見える中央の白いものバーカウンター。目が慣れるまでしばらくかかります。「バー」とはいえ、ひとりでは席に辿りつけないほど真っ暗です。(お店の人がライトを手に案内してくれます)
(「ようこそ獺祭BARへ。もう…コロナで本当に大変です」)
こちらが旭酒造・広報の千原英梨さん。写真のピントがあっていない、ということすら見えないほどに暗かったです。あまりに…暗すぎませんか?
千原さん「店内は旭酒造のある山口県・岩国の夜をイメージしています。人工的な光がほとんどない山奥ですので、本当に真っ暗なんですよ。蔵から駐車場までいくのも大変なくらいです」
(天井には黒いひらひらが垂れ下がっています。夜の帳…でしょうか)
「光るグラス」で獺祭二割三分を!
とにかく、注文します。メニューは獺祭(ロック)各種が500円、スパークリングや焼酎(粕取)など、獺祭シリーズのメインどころ一通り。ほか、おつまみもあります。
獺祭の代名詞「二割三分」を注文。青白く光るグラス(蓄光グラス)でやってきました。注文が入るたびに青い光がカウンターから席に飛んでいくように見えます。
千原さん「旭酒造のある山奥は、蛍がいるんですよ。光るグラスはそのイメージ。お店に人が集まると、それだけ光が灯るというわけ」
なるほど。
千原さん「ただ…まあコロナでいまは……」
(新月の夜のような暗さ…。訪れたのが早かったので一番客でした。その後他のお客さんもいらっしゃり、少しずつ明るくなりました。遅めの時間帯がメインなのでしょうか)
千原さん「2軒目以降でいらっしゃる方が多いと想定していましたが、実際には食事の前の早い時間から、遅い時間まで様々ですね。東京駅はアクセスもいいですし、新丸ビルの飲食フロアは本来深夜まで開業していますので。ふらっと入れる空間で、夜のひとときを提供したいと考えています」
人が集まったときの幻想的な景色が想像できます。よく、このコロナ禍に開店しましたね。
千原さん「そうなんですよ。本来は東京オリンピックに合わせ準備していたのですが延期になり、少し落ち着いてきたかなと思った秋以降またコロナが広がり…。でも、私たちは酒蔵ですので、お酒を飲んでいただいてなんぼというところがあります。そう考え、10月1日にオープンを決行しました。じっとしていても仕方ない、というところもあります」
(手前:うねび漬けとクリームチーズのカナッペ ¥800/奥:獺祭の酒粕入り自家製アンチョビペースト ¥800)
一般的な「日本酒バー」は「日本酒を最高の状態で楽しむ」ことを目的にしているので、ワイングラスなどこだわりの酒器で「お酒と向き合う」もの。でも獺祭BARは逆で「人と人が夜の時間を楽しむ」場所で、お酒はその引き立て役。光るグラスという特徴はありますが、カジュアルで安価。ロックでさらりと飲むのもとっつきやすいです。
千原さん「お客さんは別に獺祭知らなくていいですし、商品を強く紹介したいわけでもないのです。もし理想をいうならば、『あのとき美味しかった(楽しかった)お酒って確か獺祭、だったかな』と記憶に残ってくれれば」
獺祭は他の地酒に比べて販路が広いので、欲しいと思った時に入手しやすいのもポイント。獺祭Barからだと東京駅のはせがわ酒店や、銀座の獺祭ストアでしょうか…
千原さん「あ、このビルの地下の成城石井にありますよ」
すごい。獺祭の「手に入りやすさ」に改めて驚きました。買って帰ろう。
獺祭の「焼酎」がおいしい!
今回いただいたドリンクの中で一番驚いたのが、獺祭の酒粕を使った「焼酎」です。広報の千原さんやバーテンダーの方も「これはおいしい」「粕取りにありがちなマイナスイメージが払拭されます!」と太鼓判。
本当においしいです。香りは獺祭の爽やかさがあり、口に入れると獺祭特有の甘みが広がると同時に焼酎らしいしっかりしたパンチと飲みごたえが感じられます。じわじわと口に残る長い余韻は日本酒にはないもの。
焼酎はアルコール度39%と高いため、途中からソーダ割りに。しゅわしゅわとした泡が焼酎の味を攪拌してくれ、甘みや酸味がより感じやすくなります。そして軽い。グビグビいけてしまいます。
2021年も継続!獺祭がオリンピックの夜の相棒に
(店内には「隠れ獺祭」が。中央の瓶のラベルは昔のものだそう)
2020年のオリンピックを想定していた期間限定ストア。このコロナ禍の営業で終わるのかと思いきや…
千原さん「大丈夫です、2021年もやりますよ!」
例えば2021年の夏。観光客が東京駅周辺で立ち寄れるバーを探してふらりと入店し、特にこだわりなく会話とお酒を楽しむ。その後、帰って「あの時の酒うまかったなー」と思っていると、実は近くで同じ酒=獺祭が、日本と同じ品質の状態で売られていて、気軽に買えてしまう。…いい、すごいいいです。
注釈:海外輸出に積極的な旭酒造とあり、海外観光客も想定していました。残念ながら東京五輪の海外観光客受け入れは断念となったそうです。
先のことはわかりませんが、今後外食がしやすい環境に戻ったら、ここ獺祭BARみられるであろう明るい光景が、とても楽しみです。
(見えますでしょうか?天井の黒い布の中に「隠れ獺祭」がいました)
(実はこのテーブルの形、逆さにした酒瓶だそう)
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