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日本酒の「雑味」ってどんな味?お酒の”悪口”と向き合おう【超訳・日本酒用語④】
日本酒を表現する言葉のひとつに「雑味」があります。
(例)「さすが大吟醸、“雑味”が一切ない!」。
ではこの「雑味」って、具体的にはどんな味なのでしょうか。「雑味」があるお酒はダメなお酒なのでしょうか?
「わかりにくい日本酒用語」を、SAKE Streetのぽん店長が解説するシリーズ。今回は日本酒界きっての悪口「雑味」と真剣に向き合います。
渋み?苦味? 日本酒の「雑味」は一筋縄ではいかない
──ぽん店長、よろしくお願いします。最近、お店はいかがですか?
(ぽ)ありがたいことに忙しいですね〜。年末年始を終えて落ち着くかなと思っていたのですが、2月に入ってもたくさんの方にきてくださっています。最近の話題はやっぱり「値上げ」。電気代や原材料の高騰でしかたないのですが、日本酒の価格も徐々に上がってきています。
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──早速、本題に移ります。今回の日本酒用語は「雑味」です。日本酒の「雑味」って、どんな味のことですか?
(ぽ)う〜ん、雑味かぁ……何と言ったらいいか、難しいですよね。
具体的にいうと「苦味」や「渋み」「酸」といった味がそれに当たるのかなとは思うのですが、「雑味」というと「よくない」要素になってしまっちゃうので。
──苦味や渋みがあるお酒は、よくないということでしょうか?
(ぽ)いえ、決してそうではないんですよ。苦味もお酒の大切な要素です。お酒を飲んだときに、そういった味が「ガチャガチャ」しているというか、バランスが突出しているときに、「雑味」といわれるのかもしれません。
──「雑味=バランスが悪い=美味しくない」ように聞こえますが。
(ぽ)うーん、違うんですよ!
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なぜ「雑味」はダメなのか
(ぽ)わかりました、いろいろ考えてみましたが、お酒を飲んで「雑味」とはどうしても言いにくいです。「“複”雑味」と言いますね。
──「雑味」のある酒をいくつか教えてください
(ぽ)はい「“複”雑味」のあるお酒ですね。
──今回のテーマは、「雑味」の酒なんです。
(ぽ)「複雑」な味わいのお酒ですね。
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──なぜ、そこまで「雑味」を嫌がるんですか?
(ぽ)実は「雑味」って言葉、普段テイスティングしていても、ほとんど使わないんですよ。できるだけ使いたくないんです。
「雑味」とは、「クリア」の反対
──日本酒のプロであるお店の人は、「雑味がある」とは言わないのですか?
(ぽ)はい「複雑味がある」は使いますが「雑味がある」とは言いません。
──なぜ「雑味」という言葉が広まっているのでしょうか。
(ぽ)うーん、「大吟醸」などの日本酒を紹介する文章で「お米をたくさん磨いているので、『雑味』がなくクリアな味わい」と書かれているのを目にすることがあります。「クリアさ」をアピールするために、反対の言葉として「雑味」が使われているんじゃないかと思うんですよ。
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(ぽ)クリアなお酒とは、味の要素がすくなくてきれいなお酒です。その反対は、味の要素が多いお酒、つまり複雑な味わいのお酒です。どちらもおいしいお酒なのですが、「雑味」という言葉になると「よくない」「おいしくない」という感じになってしまいます。
私は複雑なお酒が好きですし、「雑味=ダメ」となってすべてのお酒から複雑味がなくなっていくと、とても寂しいです。
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(ぽ)私が日本酒を学んだ先輩は「さまざまな味わい(甘・酸・苦・旨などなど)があるお酒」をひとことで説明しなければいけないときに「複雑味」という言い方をしていました。複雑味とはダメなことではなく、おいしいお酒の表現のひとつなんです。
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「雑味」改め、「複雑味」のお酒を教えてください!
──それでは、おいしい複雑味のお酒を教えてください!
(ぽ)はい、それでしたらもちろん大丈夫です!
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(左から)
「奇跡のお酒 純米吟醸 雄町」
「舞美人 特別純米 無濾過生原酒 完熟」
「神蔵 純米 山田穂 無濾過無加水 生酒」
(ぽ)左の「奇跡のお酒」は肥料や農薬を使わない「木村式自然栽培」で育てたお米でつくった日本酒で、「米糠」のようなニュアンスもあります。
右の「神蔵」は、造り手の松井さんが「コアな日本酒好きに飲んでほしい」と言っているほど、わかりやすいクリアな味ではなく、あえて奥行きと複雑味のある味になっています。
真ん中の「舞美人」はとにかく個性派、やっぱり私はこういう子(酒)たちが好きですね。
──店長おすすめの「複雑味」酒の飲み方を教えてください。
(ぽ)そのままでも美味しいのですが、バランスが「ガチャガチャ」していると感じたら、まずは温めてみてください。突出した味の要素がまとまります。だけど「味が多い」のはそのままで、これはクリアなお酒にはできないおいしさです。
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(ぽ)また、飲んでみて口に合わなかったら、瓶のまま「しばらく常温で放置」してみることもおすすめです。数日か数週間置いて飲んでみると、ガチャガチャ感がきれいに丸くなっていることがあるんです。お酒によって放置すると美味しくなるものと向いていないものがありますので、ぜひお店で相談してください。
雑味とは、お酒の本質である
──最後に改めて、日本酒の「雑味」とは何ですか?
(ぽ)「美味しい」です。結論この一言になっちゃいます(笑)
──「雑味」が、悪口から褒め言葉に変わりましたね。
(ぽ)はい。もっというと、お酒好きな人たちは「雑味」を飲んでいるんじゃないかとも思うんですよ。例えば、フルーティーなお酒って人気ですが、「フルーツジュースでいいや」とはなりませんよね。ジュースじゃなくて「日本酒」を飲む理由は、お酒に「複雑味」があるからなんです。
──なるほど、「雑=酒」なのですね。
(ぽ)よくよく考えると、「ビール」は苦味が強く、それ自体が「雑味」とも言えますよね。だけど飲んでいるとそれが癖になる。そう考えると雑味って、お酒であることの「個性」のひとつなのかもしれませんね。
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まとめ
雑味とは「苦味」「酸味」「渋み」などに分解できる
雑味とは「クリア」の反対。悪口ではない
雑味とは、日本酒の個性のひとつである
本家の記事はこちら!
https://store.sakestreet.com/blogs/featured/what-is-zatsumi
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