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日本酒の「蔵開き」に行こう!【にいだの感謝祭2023 バスツアー】レポート
春、多くの日本酒蔵では「蔵開き」が行われます。広大な蔵を一般開放し、1年間つくったお酒を振る舞い、地域の人たちと楽しく過ごす。お酒好きの春の風物詩です。
これまで近場の酒蔵さんの蔵開きに行ったことはありますが、遠方まで足を運ぶことはありませんでした。しかし今年、「にいだしぜんしゅ」で知られる福島の銘酒蔵「仁井田本家」の蔵開きが本復活する(昨年は縮小開催)と、そして東京の酒屋さんが「バスツアー」を企画していると聞きました。
東京からバスで福島にいけて、酒飲んで寝てたら東京に帰って来れる。まるでスパリゾートハワイアンズみたいです。参加してきました。
朝8:00、バスの中で乾杯!
集合は東京・押上。朝7時台にスタートします。福島まで約3-4時間です。
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早起きした分バスで寝てようかな、と思って乗り込んだところ、主催の酒屋さんより、車内でお酒が振る舞われました。これから飲みに向かう「仁井田本家」のお酒を、行きのバスで味わいます。
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それも、1杯だけでなく数種類も、朝から車内宴会になります。今日、蔵開きで昼からお酒を飲むことにすら若干の背徳感を持っていたのですが、それどころではない。さすが酒屋さんです。
ここで、飲みながらイベントの予習をします。
蔵開きの正式名称は「にいだの感謝祭2023」。毎年恒例の催しで、前述したとおり昨年は規模を縮小しての開催。今年から本格復活です。
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「酒蔵のイベント」というと「お酒を飲めるのかな」くらいに思ってしまいますが、パンフレットを見るとたくさんの飲食ブース(自然派のお店が多数)が出店しているそうです。
さらに、酒蔵見学、オーガニックマルシェ、ヨガ(!?)、ステージイベントと、もりだくさんのよう。楽しみです。
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蔵開き自体は10時開始ですが、バスの到着では11時すぎ(実際には12時くらい)。帰り時間までは3時間くらい。のんびり楽しみたいと思います。
老若男女が集う地元のお祭り!
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福島県でも中央に近い郡山。山と畑に囲まれただだっぴろいエリアに仁井田本家はあります。無事にバス到着。駐車場から歩いて蔵へ向かいます。
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すごい賑わいです。「お酒イベント」はおじさんが中心になりやすいのですが、老若男女、小さなお子さんやベビーカー、犬まで、みんなが集まっています。
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歩いていると、突然「いま開けたお酒振る舞います!」と、蔵の方(多分)が注いでくれました。とりあえずいただきます。
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ではここから「にいだの感謝祭2023」をレポートします。
山菜、カレー、ビリヤニ!フードブースが豪華!
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お昼時、敷地内はおいしそうな香りに包まれています。見て歩くと「ビリヤニ」「カレー」「芋煮」「しゅうまい」「ビビンバ」など、多様なラインナップ。一見お酒に関係ないように思えますが、「酒粕を使ったビリヤニ」のように、仁井田本家さんと関係性の深いお店が揃っているようです。
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お昼に選んだのは、山菜料理「出羽屋」さんのメニュー。
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山菜鍋とご飯を、晴れた野外で、お酒と一緒に味わう。沁みます。これだけでもう来てよかったです。
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会場にはいくつか椅子やテーブルが用意されていますが、そこらへんにシートをしいて宴会してもOK。写真は地元の方々、10時の開始から飲み始めたのでしょう、いい具合に出来上がっていました。(海苔巻きをご馳走になりました)
他にも、パンケーキや手作りおかし、アイスなど、さまざまなお店がありました。
無限ふるまい酒に、お燗番の熱燗
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こちらは「ふるまい酒」コーナー。無料でいろいろなお酒をいただけます。まるで給水所のようにどんどんと人が訪れ、お酒を補給して次のブースに向かって行きます。
この他、仁井田本家のお酒を使ったカクテルや、御燗番(熱燗をつけるプロ)による熱燗が、ワンコインから楽しめます。
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こちらは、池尻大橋にある熱燗の名店「高崎のおかん」の店主による、出張御燗ブース。仁井田本家といえば、やっぱり熱燗です。
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こちらは東京・経堂にある「つきや酒店」さんの出張ブース。仁井田本家さんの品揃えがすごいことで知られる酒屋さんです。ここでは御燗番である4代目・柱知香良さんの熱燗をいただくことができます。
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仁井田本家からお酒を「仕入れて」いる東京の酒屋さんが、わざわざ仁井田本家でお酒のブースを出している理由には「昔に仕入れてお店で熟成させた、酒蔵にもないすごいお酒を、東京から持ってきた」のだそうです。ちょっとよくわからないけれど、愛がすごいです。
https://note.com/00kub0/n/n9c4797d0f61d
この他、有料試飲スペースもあり、広い敷地内を歩きながらそのいく先々でおいしいお酒をいただくことができます。
蔵人さんによる蔵見学はマスト
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酒蔵にお邪魔するとなると、ぜがひでも「蔵見学」はしたいものです。蔵人の方が案内してくれる見学ツアーにも参加しました。
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ここで改めて、酒造りを勉強。「自然米」「無添加」といった、自然界の力を最大限いかした酒造りに取り組んでいる仁井田本家さん。一方「作業」には機械による効率化にも取り組んでいるそうです。合言葉は「楽しくつくろう!」とのこと。
ただの「昔ながら」ではない、時代にあったナチュラル思考、素敵です。
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見学の最後には、まだ瓶につめる前の、しぼったそのままのお酒を柄杓で注いでいただきます。商品になったお酒とはまた違う、グレープフルーツと酢が合わさったようなパンチのある味。貴重な経験です。
山エリアではヨガと熱燗を!
仁井田本家の敷地の奥まで進むと、そのまま「裏山」につながります。ここも今回の会場の一部。そこでは…
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「ほろ酔いヨガ」というプログラムが行われていました。森の中で(酔いながら)身体を動かすのは心地よさそうです。
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こちらは、Wood&Knotさんによる「瓶ホルダー」つくりのワークショップブース。急にキャンプ場っぽいアクティビティが増えます。
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そして、山の中専用の御燗。小瓶のお酒を、そのまま鍋にいれてぐつぐつ温めます。プロの熱燗もいいですが、アウトドアはこういうのがおいしいものです。
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外で(自然で)飲むお酒って、たまらないです。
特設ステージでのショー&イベントも熱い
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山から蔵に戻ると、ステージでトークショーが行われていました。仁井田本家の蔵元らが、ゆるく真面目に、地域と酒蔵の未来について語り合います。
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かと思えば、男性ユニットによるステージも
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この他、ステージではクイズ大会や乾杯(何回か乾杯していました)が行われ、お客さんだけではなく出展者の方々も集まりにぎわいを呼んでいました。
お酒より「蔵」が主役の蔵開き
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以上、ほんの一部ですが「にいだの感謝祭」のレポートです。
日本酒関連のイベントに足を運ぶことはあるのですが「蔵開き」はそれとは明らかに違う景色があります。
お酒イベントの場合は、主役はお酒。訪れる人も「お酒を飲みたいお酒好き」。場合によっては少し殺伐とした空気になることもあります。
でも、蔵開きに流れる空気は、とにかく穏やかです。
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それはきっと、蔵開きの主役が「酒」ではなく、「蔵」であり「場所」だからだと思います。
もともと、酒蔵とはその土地の水や原料を使い、その土地の地酒を醸す、地域の象徴のような存在。だから「うちの町の蔵開き」には、地域に住む人たち、その家族、友達も、みんなが遊びにやってきています。
だから今日の主役は、この場所と、そこで働く人、集う人が主役。お酒はあくまで、間をつなぐ潤滑油。わざわざバスツアーで来ておいて矛盾しているようですが、それくらいの懐の広さが心地いいのです。
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想像ですが、仁井田本家の人たちそのものが、地域に対しておおらかなんだろうな、と思い、またお酒が進みました。
「にいだの感謝祭2023」とても楽しかったです。お邪魔しました。ツアーを主催してくださった「旅する酒屋ツグー」さん、貴重な体験ありがとうございました。
おまけの写真
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酒造りに使われていたと思われる黒板がテーブルとして使われていました。ほしいです。
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牛乳瓶っぽいデザインの1合瓶。これ片手にうろうろしていました。
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福袋はもちろんお酒。買って帰りました。
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蔵見学の一コマ。ワイン造りに用いられる壺「クヴェヴリ」が使われているそう。この他、オーク樽を取り入れたりと、挑戦的な取り組みが行われているそうです。
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雑誌などで目にする仁井田本家のシンボル。想像以上に大きかったです。
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サービスエリアでみつけた、自立する猫たち
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