【日本酒フェア2022レポート】日本最大級の酒イベントで、都道府県の味を飲み歩く!
日本最大級の日本酒イベント「日本酒フェア」が、3年ぶりに開催されました。全国各地の「日本酒オールスター」といえる蔵が集結するこのイベントをレポートします。特に「各エリアのテーマ」に注目して飲み歩きしました!
日本酒フェアのここがすごい!
https://sakefair.com/index.html
「日本酒フェア」とは、「日本酒蔵組合中央会」が主催する年に一度のお祭りです。主催は日本酒業界最大規模の団体であるため、とにかくたくさんの酒蔵さんのお酒に出会えるのが魅力です。
さらに、「日本酒イベント」にはさまざまなものが存在しますが酒造組合が主催するものは興行目的の企業が行うイベントに比べてぐっとお得なことが多いのも特徴です。(今回は3000円で好きなだけ日本酒を楽しめる!)
そのため「日本酒が気になるかも」という人はまずチェックしてほしい、王道かつ親切なイベントなのです!
東京国際フォーラムに長蛇の列!
会場は東京国際フォーラム。17日18時の回に参加しました(2days!)
開場10分前についたところ…すでに行列が
行列は広いホールを囲むように、反対側までぐるっと伸びていました。すごい、そんな、みんな日本酒飲むんだ。(各回500名)
イベント攻略の「作戦」を考える
入場を待つ間、「来場予定蔵元一覧」(pdf)をチェックします。すると、44都道府県のブースがあり、それぞれ〜10蔵程度参加していることがわかりました。「とりあえず片っ端から飲もう」と考えていたのですが、到底できそうにありません。
そこで、今回の飲み歩き方の作戦を次のように立てました。
1:県ごとにまわる
会場は、県ごとに独自のテーマに沿ったブースを出しています。そのため、蔵ごとにまわるという発想を捨て「県ごとの違いを楽しむ」と決めました。全国の蔵が集まる「日本酒フェア」ならではの贅沢な楽しみ方です。
参加蔵をチェックするその中で、気になったのがこちら。他の県の組合は参加予定蔵元名があるのに、熊本だけ「未定」。スポーツ漫画の全国大会編で、スタメンを直前まで隠すダークホース校感がでていて気になります。
2:知らないお酒を選ぶ
せっかく未知のお酒と出会うチャンス。できるかぎり「知らない」「都内で飲めない」ものを味わっていきます。
3:造り手さんが見えるお酒を選ぶ
ブースには、酒蔵の人も立っています(各県ん組合ごとに当番制みたい)。せっかく造り手と会えるチャンスですので「あなたが造ったお酒がありますか?」という質問もしていきたいです。
4:水を飲め
必須です。ペットボトルを持参でいきました。
日本酒フェア2時間一本勝負、スタート!
ここから、訪れたブースの一部を紹介していきます。
※各県の見出しはブースに掲げられたテーマです
【近畿エリア】伝統と意外性を味わう!
まず向かったのは、入り口からほど近い場所にある「近畿ブロック」。灘や伏見といった、伝統的な酒どころです。
京都:京の米で京の酒を
こちらは京都ブース。テーマは「京の米で京の酒を」とのこと。地産の米をテーマに、さまざまな京都酒が並びます。ちなみに、特定のブースでは試飲だけでなく購入もできます。
大阪:くいだおれ大阪の地酒
こちらは大阪。大阪って日本酒のイメージが全然ありませんでした。
「そう、あまり知られていないんです笑 せっかくだから大阪のおいしいお酒を飲んで!」とおばちゃんに薦めてもらい、今年の鑑評会金賞蔵「國乃長」をいただきました。
和歌山:ぐっと飲ろう 紀州の清酒
和歌山ブースでは、あの有名な「龍神丸」を醸す高垣酒造の杜氏さんがいらっしゃると知り、いただきました。ご本人の話を聞きつつ味わうのはやっぱり楽しいです。ミーハー心がゆれます。
奈良:日本清酒発祥の地 奈良酒
奈良のテーマは「発祥の地」。強いです。歴史マウントできる県はそれだけで目を引きます。
ひとまず休憩。ひとエリアを見るだけでも相当なお酒を飲んでおり、ペースダウンしなければ身の危険を感じるほどです。会場には何箇所か給水エリア(と、利酒したお酒を捨てるエリア)があり、そこで息を整えます。
【中国・四国エリア】しぶい銘酒が勢揃い
続いては中国ブロック。「しみじみ」「きりっと」なお酒が多いイメージで、個人的にもこの地域のお酒を買うことが多いです。
島根:日本酒発祥の地 島根
ーーあっ!と声が出そうになりました。テーマが奈良と被っている!それも議論になりそうな「発祥の地」で!
でも、いいんです。諸説ある(多分)のが、おいしい日本酒なんです。
被っていることで、なおさら「各県の人たちが思い思いのテーマを(内密に)仕込んできたんだな」と微笑ましい気持ちにすらなります。イベントの直前、両県でどんな会話が行われたかが気になります。
【鳥取】酒は純米 燗ならなお良し
鳥取は「純米酒」推しです。週末の18日のみ、実際に「熱燗」がふるまわれたそうです。温めるの手間なのに、すごいこだわりです。
「日本酒蔵組合中央会」に所属しており、日本酒特化型シェアハウス「神田酒家」を運営しているちぇけ丸くんに遭遇しました。「3年ぶりにリアル開催できました!」とのこと。
愛媛:伊予!IYO! 愛媛の地酒(イーヨネ〜♡)
そんなちぇけ丸くんが「チームの一体感がすごいです」と教えてくれた県が、ここ「愛媛」。テーマがいいです。「伊予!IYO! 愛媛の地酒(イーヨネ〜♡)」! 何も言っていないのに、勢いで他を圧倒しています。
みなさん、白シャツ&みかん色のベストというお揃いのユニホーム!これこれ!お祭りは思いっきりアホに踊るのが一番楽しいのです。
愛媛県が開発した酒米「しずく媛」を使った「華姫桜」をいただきました。
【北陸エリア】自然の豊かさと「大吟醸」で目立つ!
「うちのブースはすべて『大吟醸』ですよ〜!おいしい『大吟醸』を揃えましたよ〜」という呼び込みをしていたのが福井県。
福井:越前・若狭の地酒&さかほまれ
福井は自県の酒米「さかほまれ」を使った「大吟醸」で勝負。大吟醸という高価格帯アピールを聞いた時、一瞬「あ、ずるい(他は米とか地域性なのに…)」と思ってしまいましたが、これも県の作戦です。まんまと飲みにいきました。
「都内で飲めないお酒お願いします」と相談したところ、力泉酒造の「明乃鶴」(大吟醸)を教えてもらいました。さすがの綺麗さ、おいしいです。
石川:米と水と技で醸す美味しいお酒
お隣の石川は、遊穂や手取川、天狗舞など有名銘柄の多い実力県。自信の裏返しか、ブースは地味な感じです。
ここでは「菊姫」が地元の酒屋さんと共同で開発した「連峰白山」というお酒をいただきました。すごくおいしかったです。
【北海道・東北エリア】大人気の日本酒王国!
会場でひときわお客さんが多く、常に賑わっていたのが北海道・東北エリア。福島県、秋田県、宮城県、山形県など、全国的なスター蔵が多いエリアです。
福島:醸造王国 好きなんです ふくしまの酒
「醸造王国」と自ら名乗る福島県。その所以は…
なんと、全国新酒鑑評会の金賞受賞数が9連続日本一!これは強い!醸造王国のひとことでマウントをとれます。
また、福島のブースには日本酒業界のヒーロー・鈴木賢二先生も参加!この方、福島県の日本酒の品質向上やブランド化を推し進めたすごい人物なのです。一部では「世界のスズキ」ともいわれるほどです、日本酒業界なのに。
新潟:酒の国にいがた
ここも「酒=米=新潟」パブリックイメージがしっかり定着しているので、テーマが強いです。背後にある文字は、新潟のお酒を作る5つの要素。これもなんだか誇りを感じる。
ほかにもこのエリアには「北海道の自然が育んだ旨さ」という自然推しの北海道、「米の秋田は酒のくに」という米処アピールの秋田など、強強なブースが目白押しでした。
山形:GI やまがた 日本酒の聖地をめざして
中でも気になったのが「GI(地理的表示)」を掲げている県。実は山形以外にも「滋賀:GI 滋賀酒で繋がろう」「長野:GI NAGAO はじめました」「佐賀:GI★SAGA BAR」があり、合計で4つの県がGI推しでした。
土地の原料や気候を生かしてブランド化を図り、世界に発信していってるんだなと、日本酒業界のトレンドが感じました。
【関東・甲信越エリア】テーマは地味、だけど美酒揃い
全国の酒蔵があつまる日本酒イベントで、後回しになりがちなエリアが「関東」です。「大自然」「米処」「歴史」などの訴求が難しく、どうしても地味になるのですが、お酒は本当にどこもおいしいのです。
東京:首都 東京地酒
都市の呼称をそのまま謳った東京ブース。東京=地酒のイメージはないのですが、実は澤乃井や多満自慢など伝統蔵も多数。最近は約100年ぶりに復活した都市型酒蔵・東京港醸造場なども話題です。
他にも、関東チームの主なテーマは以下。苦心の跡がみえます
千葉:ちばの酒技酒調(しゅぎしゅちょう)
栃木:「とちぎの酒」魅力発信
埼玉:SAITAMA 酒蔵コレクション
神奈川:いま、かながわの酒がおもしろい
その一方、北関東は「水がいいエリア」でもあるようで、
群馬:水のふるさと 群馬の地酒
茨城:山海の美しい自然が育んだ個性豊かな酒
割愛している風になってしまっていますが、しっかりおいしく楽しんできました。
【九州エリア】南国でも日本酒は多彩!
ラストは「焼酎」のイメージが強い九州。実は日本酒も熱いのです。
佐賀:GI SAGA BAR
「東一」「天吹」「光栄菊」など人気銘柄が集まる、九州きっての日本酒圏・佐賀。BARをコンセプトに、全員が蝶ネクタイをつけていました。
そしてSAGA BARは全国の中でも人気のブース。終了時間ぎりぎりまで多くの人でにぎわっていました。
熊本:NUMER(9)NINE
開場前のリサーチ中に「出展蔵未定」で密かに注目していた「熊本」は「9」がテーマ。実は熊本は「協会9号酵母(別名・熊本酵母)」発祥の地。近代日本酒づくりに大きな影響を与えた県なのです。ここでは「泰斗」「香露」などの熊本地酒が並んでいました。
宮崎:宮崎の清酒
九州エリアの端、とくに「小さな」ブースが”焼酎出荷量日本一”である宮崎県。完全に焼酎の国なのですが、実は日本酒蔵が2つだけあり、今回はその1つ「千徳酒造」さんが参戦していました。
はじめて目にした銘柄ですが、しっとりやさしい味わいでおいしかったです。宮崎は日本酒もおいしい!
久しぶりの日本酒イベントは楽しい!
日本酒フェア、あっという間の2時間でした。各県ごとの特徴やテーマ、それにあったお酒があって、お祭りの縁日を練り歩くような行為がとても楽しかったです。
また、「やっと(リアルで開催)できたね!」「(知っている蔵の人に)お久しぶりです!やっと会えました」といった再会の声が、会場のあちこちから聞こえてきました。
日本酒のイベントが帰ってきたと、ほろ酔いの頭でしみじみとしました。
参加者へのお土産に「オリジナルおちょこ」をいただきました。これを持って、来年また遊びにいきます。