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日本酒の”実験作”を比べて味わう! 森酒造場の頒布会【飛鸞会】の楽しみ方

日本酒の「頒布会」というシステムをご存知でしょうか?

酒屋さんのお酒を「選んで買う」のではなく「予約制でおまかせが届く」というものです。普通には買えない「特別」なお酒があったり、未知の銘柄の「出会い」があったりと、自分で選ぶこととは違う楽しさがあります。

今回、人気急上昇中の日本酒「飛鸞」の森酒造場さんの頒布会「飛鸞会」を購入。さらに蔵人の深海さんに「飛鸞会の楽しみ方」を聞いてきました!

森酒造場の頒布会「飛鸞会」とは?

まず簡単に「飛鸞会」の説明を。長崎県にある森酒造場が年に一度行う頒布会で、今回で4回目。毎回テーマに沿ったお酒をリリースしているそうです。

こんな感じで届きます。3本セット
開けると「感謝」の言葉。いいなぁこういうの。

酒造りのテーマは酵母・麹など毎回異なります。第4回となる今回のテーマは原料である「米」違いの3本セット。

これが今回の3本。かっこいい。

早速、森酒造場の蔵人・深海さんに「飛鸞会」の魅力を聞いていきます!

飛鸞会の楽しみ①蔵の「実験」を楽しむ!

毎回、チャレンジングなお酒造りに取り組んでいるという「飛鸞会」。造り手としての最大のメリットは「自由さ」なのだと深海さんは話します。

森酒造場の蔵人・深海さん。よろしくおねがいします!

深海さん「まず、「頒布会」は予約制という点が特徴です。 お客様の応援あっての取り組みであることが前提ですが、その上で、世の中の流行などに左右されるのではなく、自分達が本当にチャレンジしたいことに集中することができます。 また、予約いただいたお客様も、その点を期待していただいているのではないかと考えています。

森酒造場は今の5代目杜氏の体制になってまだ5年目。自分達の銘柄を築いていくため、頒布会はもちろん、さまざまなことに挑戦していかなければいけないと思っています」

実験への期待がある分、半端なことはできません。実は今回の3本セット、ひとつのお酒が想定とは異なる酒質になったため「造り直し」をしたそう。…自由って、厳しさと背中合わせなんですね。

飛鸞会の楽しみ②「違い」を楽しむ

今回取り組んだテーマは「異なるお米による味比べ」。愛山、飯米の春陽、八反錦という、森酒造場では初挑戦となる3つのお米で醸しています。さらに「米の個性」を感じてもらうために、酵母や麹、精米歩合といった米以外の要素を統一して造っているというこだわりようです。

深海さん「これも頒布会のメリットで、普通お店でお酒を選ぶ場合、同じ銘柄を3本買うってなかなかハードルが高いと思うんですよ。でも、頒布会だったら『セット』で買ってもらえる。すると今回のような『お米の違いによる味の違い』を感じてもらいやすくなるんです」

酒米「愛山」
酒米(飯米)「春陽」
酒米「八反錦」

深海さん「もちろん、3本が全く同じ造りというわけではありません。お米が違えば浸漬(お米に水を吸わせること)の時間も、溶け具合も、発酵の進み方も全く違いますので、そのあたりはしっかりチューニングして、『近い味わい』になるようにしています。その方が、よりお米に由来する差がわかりやすくなりますので」

これは驚きでした。(甘口or辛口などではなく)あえて「近い味わい」のお酒に仕上げることで、米の違いがわかりやすくなるんですね。

飛鸞会の楽しみ③「成長の過程」を楽しむ

深海さん「頒布会は『応援購入』の面が強いものです。今回も、多くの飛鸞のファンの方が買ってくださっています。
頒布会とは、純粋な『ひとつの商品を買う』というよりも、僕たちの進化の過程を見ていただき、ともに飛鸞の未来をつくっていく機会だと考えています」

お酒と一緒、感謝のお手紙がはいっていました。

深海さん「実際、飛鸞会での挑戦からレギュラー商品につながったものもたくさんあります。今回の3種類のどれかも、次の商品ラインナップに入ってくるものがでてくるかもしれません。

もちろん、今回の実験をもとに、さらに改良を加えていきますので、まったく同じお酒にはなりませんけどね。そういった『過程』を味わっていただけるのも、飛鸞会の特徴だと思っています」

今回、想定の3倍もの予約が入り、現場はてんやわんやだったとのことです。

飛鸞会の楽しみ④日本酒の「楽しみ方」を学ぶ

お米違いの3種類、違いを見るために、もちろん同時に開栓して飲み比べます。

飛鸞会の生酒は「直汲み」だそうで。うっすらとおりのようなものも見えました。

深海さん「私、もともと日本酒が好きで蔵人になったのですが、日本酒の楽しみ方のひとつが『比べて飲んで違いを知る』ことだと思っています。『こんなに違うんだ!!』って。その楽しさを知ってほしい商品だとも言えますね。

今回は『お米』の比較ですが、たとえばうちのお酒だけじゃなく『同じお米でいろいろな蔵のお酒』で比較してみるのも楽しい。すると、今度は同じお米でも『蔵の味の違い』が見えてきます」

「私もこれから飲みます!」と深海さん。自社商品を買ったのですね。

え、(飛鸞の蔵の人なのに)他の蔵のお酒が入ってきてもいいんですね。

深海さん「いいんです!とにかく日本酒の楽しさを感じてもらえば。自分達の商品は、日本酒の楽しさを知ってもらったその先にあるものですので。

あ、でもあまり真剣にテイスティングしなくても大丈夫ですよ。味をみることに集中しすぎると『楽しさ』が抜けやすくなってしまいますから。

気軽に3本飲んでもらって『あれ、ちょっと違う!』と思ってもらうくらいで十分。それに、そのくらいの視点や知識でも、十分満足してもらえるくらいの質のお酒になっていると自負していますから」

3種のお米違いを楽しもう!

深海さん、ありがとうございました!比較はもちろん、飛鸞の「スムースでさわやか」な味をたっぷり楽しませていただきます。記事の終わりに、今回の3種類の特徴(商品資料&ひとこと感想を一部紹介します!

・愛山(兵庫県の酒米):酒米のなかでもっとお溶けやすく、濃厚な甘み・旨みが特徴的。
→しっとりとした甘みが印象的でした。あとから苦味も感じられ、ちょっとしたつまみがはいるといい塩梅に。とても上品な食中酒といった感じです。

・八反錦(広島県の酒米):硬くて溶けにくいが、すっきりとした酒質になりやすい。
→甘さの度合いは近いけれど、フレッシュな果実のようなさわやかさがあり。全体的におとなしめだけど…なんというか「野菜」っぽい。おいしい。

・春陽(新潟県の食用米):雑味が少なく淡麗なお酒になりやすい。ソーヴィニヨンブランのような特徴香で注目を集めている。
→??八反錦と逆に「熟れた」果実感があります。これが白ぶどう?苦味は少なく、お酒単体でどんどん飲める味。

「飛鸞会」は特約店から購入可能!

今回購入したのは、東京・浅草橋にあるSAKE Streetさんです。飛鸞会へのコメントをいただきましたので最後に紹介します。

SAKE Streetの藤田店主
「飛鸞の森醸造場はとても向上心が高く、これからさらに飛躍していくものと思っています。(飛鸞会は)そのプロセスも含めて飲み手の方と共有出来ることが、とても面白く魅力だと思っています。

従来の飛鸞のファンはもちろん、純粋に「米違いの味わいを比べてみたい」ということで予約してくださった方も多い印象です。

今回のテーマは「米違い」。ワインのブドウとは異なり、日本酒の米は、最終的な味わいへの寄与度があまり高くないとされていますが、それでもこんなに味が変わるのかということが実感できます。今後は米以外にも、火入れと生、生酛と速醸、など様々な切り口が出てくることと思います」


おまけ

酒蔵さんではなく「酒屋さんの頒布会」のレポートはこちらです。


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