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成長するカルピスシェイク 「十二六 甘酸泡楽」(美味しかった日本酒)

ある日目にした、三軒茶屋の酒屋「唐木屋」さんのチラシの文言。
「予約生産、本物のどぶろく
興味深い文言に惹かれ、すぐに予約しました。年末年始の家飲みのおともになった、まるで生き物のようなお酒について紹介します。

まだまだ生きている! 野性味溢れるどぶろく

予約注文から1ヶ月、これがそのどぶろく。蔵元は長野県の武重酒造。
「十二六」と書いて「どぶろく」と読ませます。

瓶の横側。
どぶろくとは、発酵したお酒を「しぼる」前の状態のお酒。
きれいな日本酒として整う一歩前、どことなく「野性感」のあるお酒です。

裏ラベル(というか直印刷)。瓶の底のあたり、溶けずに残った米が見えます。お酒には賞味期限がないといいますが、どぶろくにはあります(短い)。もちろん「賞味」ですので過ぎても飲めるらしいのですが、瓶の中で酵母が発酵している真っ最中ですので、他の生酒以上に味や香りの変化が激しいらしいです。お店に長期間置いておけるはずもなく、予約生産というのもうなずけます。

他の情報としては、
アルコール度は低く5%で、まだまだ発酵中。暖かい場所に置いておくと噴き出してしまうそうです。
ちなみに瓶をふるのはNG(酵母が呼吸するため、蓋に空気穴が開いてます)で、飲むときは天地返し(瓶をそっと上下さかさまにするだけ)をしていただきます。他にも色々細かい数値もありましたが、発酵状況によって変わっていくそうです。

ヨーグルト?カルピス? 意外と爽やかな味わい

器にそそぐと、本当に真っ白。そしてどろりとした粘度があります。

「毎日味が変化する」という、まさに生きたお酒。せっかくなので3日にわけて味わってみました。

開栓1日目
思っていた以上にどろどろです。甘酒のようにオリの食感があるだけではなく、透明な部分にも粘度を感じます。まるで片栗粉の「あん」のような弾力があります。

飲めば、どろりとした液体が舌の上を這うと同時にチリチリとした泡の刺激がやってきます。どろりチリチリという異なる個性が口の中でごっちゃになっていますが、これが不思議なほど違和感なく合う。いままさに「発酵中」というわけで、生き物を踊り食いしている気分です。
「どぶろく」と聞くと重厚な味をイメージしますが、ヨーグルトのような酸味と軽やかさ、乳酸由来の「甘さ」があります。

そして時折舌に残るお米のつぶつぶ…。
…これは、シェイクだ。
スコール(九州のカルピスソーダ)やアンバサ味をしたシェークです。

そんなはずないのに、部活の後によさそう、という考えが頭をよぎりました。

開栓2日目
前日との違いは「甘さ」の重さ。こっくりとした甘みが乗ってきて、全体的に「濃くなった」ような気がします。
開栓日が想像以上に軽やかだったことを考えると、重心が下がることでひとつにまとまったようにも思えます。

開栓3日目
なぜか泡が強くなっていました。1日目は口にすると同時にチリチリとしていたのですが、泡が舌の上に一瞬だけ残り、時間差でパチっと弾けていきます。これはこれでおもしろい。初日とは別人みたいです。

残りもすくなくなってきたので、ここで燗に。
すると、ひとつひとつ泡がパワーアップし、粘度もさらに強化しました。舌に感じるザラつきも増え、これはもう「スープ」といってもいいほどの食べ応え。
味はもう、このうえなくまろやか。飲んでる間ただただ幸せになる、人をダメにする液体です。

「本物のどぶろく」は、お酒好きもそうでない人も、だめだけど子供も好きそうだと思える万人受けするおいしさでした。

酒の成長具合をもっと長期間見るため、次回はLサイズ(2Lペットボトル詰めがあるそうです)で楽しみたいと思います。

ごちそうさまでした。

>蔵元情報武重本家酒造http://doburoku.jp/publics/index/10/※こちらに販売スケジュールもありますので、ぜひ!


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もちろん、お酒を飲みます。