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はなり亭の料理から10「里芋の唐揚」
このコラムは読酌文庫が執筆・発表している小説「はなり亭で会いましょう」に登場する料理を取り上げたコラムです。本編未読でも問題なくお楽しみいただけますし、ネタバレにならないよう配慮した書き方を心がけております。
里芋の唐揚
里芋は煮物のイメージが強い食材だろう。煮物にするとほっくりした食感ながら、ねっとり感も味わえる。しかし、油で揚げると表面がカリッとして、外側と中身の食感の違いが楽しめる。
そんな里芋の唐揚は、そのまま揚げてもフライドポテトとは少し違う趣で楽しいのだが、一度煮て味をしみこませてから揚げると手の込んだ料理になってくる。素朴な里芋そのものの味かと思いきや、ふんわりと滋味深い味が広がって、食感の違いだけでなく味の奥行きも楽しめる逸品になるのだ。
まぁ、里芋を煮てから揚げるのは手間なので、自宅ではやる気が起きないけれど。だからこそ、お店で食べられると嬉しいメニューだ。
続いて里芋の唐揚をつまむと、これまた表面のカリッとした食感に、中のねっとりとした感触の違いが面白い。里芋にしっかり味がついているのは、一度煮てから揚げているからだろう。シンプルに見えて手の込んだ一品だ。
「はなり亭で会いましょう」の作中で登場したのは、二巻でのこと。以前取り上げたあんかけ豆腐と同じく、試作品として作られたものを振る舞われるシーンだ。
「はなり亭」でアルバイトをしている涼花が、訳あって食事をしに来たため、店主である御厨が勝手に料理を振る舞いだしたのである。注文する前から次々と料理が出てくる状況に呆気にとられつつ、ひとまず厚意に甘えて料理を味わう。
ちなみに里芋の皮をむくときは、上下を平らに落としてから縦にむいていくとやりやすい。あと、泥を洗い落としてから表面の水分をしっかり拭き取り、乾燥させてから皮むきすると、ぬめりも防げる。
さて、自作小説に登場させた料理について、本編の紹介も兼ねて書いてきたシリーズであるが、今回で10回目とキリが良いので、一度区切りにしようと思う。
というのも、二巻以降は「はなり亭」以外の場で振る舞われる料理描写も増えてきており、それらを取り上げるとシリーズタイトルとズレが生じそうなのだ。(それも含めて「はなり亭で会いましょう」に登場する料理として取り上げても良いのだが……「はなり亭」というお店で出てくる料理を意味したタイトルっぽく取れそうだなと思えてきたので)
また、最新刊となる三巻は今年五月に発行したばかりでもある。本編のネタバレにならない程度の触れ方にしているものの、やはりまだ日も経っていないのであれこれ語らない方がよい気がしてきた。
そんなわけで、また折を見てシリーズを再開させると思うのだけど、しばし休憩ということで。もし、このコラムを読まれた方で、小説本編にも興味を持っていただけたなら、ぜひ委託先の通販などを利用いただければ幸いである。
委託先情報
「はなり亭で会いましょう」1巻は、委託先「ぽんつく堂」「犬と街灯」「架空ストア」の通販でもお買い求めいただけます。はなり亭での飲み食いを通して、ちょっとだけ交流する関係を主軸に、2人の主人公の視点で物語が展開します。
※委託先により、販売価格・送料等が異なります。
そのほか、大阪・文の里にある「みつばち古書部」の読酌文庫棚や、奈良・ならまちの無人書店「ふうせんかずら」(有人営業日もあり)の虎月堂さんの棚でも販売しています。お近くの方は是非どうぞ。
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