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Nomu-Yomu paper 第五号【ログ】

 この内容は2019年5月25日に長岡天満宮で行われました天神さんで一箱古本市にて配布いたしましたフリーペーパー「Nomu-Yomu paper第五号」の再録となります。

お酒を飲んで本を読んでる人のペーパー Nomu-Yomu paper 第五号

 昨年~今年にかけては何だかよくわからない気候に悩まされた方も多いのではないでしょうか? それでも季節は廻り冬から春へ、春から夏へ……一年前に箱主デビューした天神さんで一箱古本市の五月開催に再び、というところです。出店回数も十を超え、古本市を通じてのご縁も広がりつつあり、分かったこともあれば、まだまだ勉強しないと、と反省する場面もあり、というところです。
 日本酒記録帳として販売していた「にほんしゅにっき」の方は先日めでたく完売しましたので、今回頒布はありません。秋ぐらいに第二弾をリリースできればいいなぁと、ひそかに考えています。第二弾となるとやはりバージョンアップもしたいですしね……改善点やもっと使いやすく、日本酒ライフが楽しくなるものにするには、どうすればいいかを検討して温めていきたいです。

ドラマ化された物語

 今回はドラマ化された小説・漫画を紹介&語ります。もともとテレビはあまり見ないのですが、たまに見た作品の続きが気になったり、読んだ本のドラマ化なのでチェックしたくなり、ドラマを見ることがあります。

私、定時で帰ります。

朱野帰子 作 新潮社より刊行
ドラマは2019年4月より放送。主人公・東山結衣役に吉高由里子を起用。今年3月には続編となる「Hyper」が発表されました。定時退勤・プライベート充実・出世なんかわざわざしたくない主人公の結衣ですが……

 タイムリーに文庫版を読んだ後のドラマ化だったので、視聴しています。
 正直なところ、変な脚本にならないか心配するところもありました。アラサーな主人公は今の彼と結婚秒読みだけど、元婚約者が今の仕事のチームに居て……っていうシチュエーションでもあるので、微妙な年齢の女性が、恋と仕事に、元カレと今カレの間で揺れ動く……みたいな部分を推してくる展開になってたら、なんだかなー……と思っちゃうので。
 実際に放送を見てみたところ、そういう部分を変に推す感じではなく、仕事の進め方や働き方への問題提起、毎回キーとなる問題社員との向き合い方、解決の仕方を原作の内容を下敷きにしつつ、ドラマとして見やすくまとめているなという感じで、好印象を持っています。一部キャスティングには違和感を感じたりもしましたが……(元婚約者で体育会系ワーカーホリックの種田役が向井理って、イケメン過ぎるやろ! 種田はもっと武骨なイメージじゃない? とか、体調不良でも休まず無遅刻無欠勤で残業しまくりの三谷役がシシド・カフカっていうのもちょっと意外過ぎ! とか)まぁ、ドラマ版ということでこういう感じもいいのかなと最終的に納得しました。一方、クソ上司の福永役であるユースケ・サンタマリアは滅茶苦茶ハマってるなって思います。
 原作通りのストーリー展開ではないのですが、(多分原作に忠実な内容のドラマにすると、見てて面白くない気がする……)昨今問題になっている長時間労働、産休育休の是非、セクハラ・パワハラ問題などを取り上げて、うまく一時間ドラマの尺で話をまとめているように思います。そもそも、原作通りだと、主人公がどんどん定時に帰れない状態になってしまって、タイトルと違うくね? ってなりそうですしね。
 最終的にどういう結末に落ち着くのか……放送も折り返し時期に入ってきたので、残りもじっくり見ていきたいと思います。本編のぶっ飛んだ登場人物でまだちゃんと登場してない方もいるので……この人は出ないままなのかな?

【追記】
 「わたし、定時で帰ります。」の紹介を書いたあと、ドラマの最新話を見ての追記……なんだかチームの雲行きが怪しくなるようで、クソ上司福永がかつてない炎上案件を引っ張ってくる気配が感じられます。主人公をめぐる三角関係展開は、まぁ、まだ許容内です。ドラマとしてやるならこれくらいの味付けはむしろアクセントとしてありかなと。ただ、あまりそれに引っ張られてほしくない、あくまでもこれは仕事に対して、働き方に対して問題提起するテーマであってほしい、というのが個人的な願いです。さてさて、原作通りにデスマーチからのゲス結末に行くのか、あるいはドラマ独自の大団円エンドになるのか……見ものですね(?)

【さらに追記……】
 いよいよ原作通りのデスマーチ案件に突入の様子! クライマックスに向けて盛り上がってまいりました( ・∀・)wktk
 効率いい人フェチで種田ファンの管理部・石黒さんもついに登場してきましたよー……やっぱりちょっと個人的なイメージとは違ってましたが、まぁ、これはこれで……。
 結衣と婚約者との関係は今のところ良好……かな?

書店ガール

碧野圭 作 PHP研究所 シリーズ全7巻。
ドラマは2015年4月より稲森いずみと渡辺麻友の2人が書店ガールのW主演で放送。

 「わたし、定時で帰ります。」のドラマ化にちょっと身構えてしまったのは、「書店ガール」のドラマ版が何だかいろいろと残念な仕上がりだったという過去があるからです。こちらは結構期待して見始めたんですが……なんというか、書店のお仕事部分よりも職場での三角関係? 四角関係??? がやたらと入ってくるし、人間関係の設定が改変されいて……でお仕事小説であった原作の魅力的な部分が薄まっていたんですよね。
 二人の書店ガール役の稲森いずみ(理子)、渡辺麻友(亜紀)、この二人が最初は反発というか、ギクシャクしながらもだんだん仕事を通してお互いを認め合う関係になって……最後は書店を守るために共闘するけれど、結局お店は守り切れず……というあたりは原作通りなんですがね。どうして二人の書店ガールがある人物のことで三角関係になる必要が?
亜紀の音痴設定が出てこないのは別に問題ないんだけど(主題歌歌っているまゆゆを音痴役にするわけにはいかないだろうし)、亜紀の結婚式が話の冒頭ではなく最後に持って行ったのも、亜紀の年齢設定が若返ったのも、まぁ、たいした問題じゃないんですが……亜紀と結婚する小幡が編集部の第一線から外される展開とか……いくら彼女のためとはいえ、自分の裁量で漫画家をフェアに協力させるとかやっちゃダメでしょう? そりゃ左遷もされますって。そしてラストは書店ガールの二人が書店ガールでなくなるし……なんかもう、ツライ、目も当てられない。一体何を狙った脚本だったのか……トレンディドラマみたいな書店ラブストーリーにしたかったのか。大人の事情があったのか……。
 唯一気に入ってるのは主題歌「出逢いの続き」。まゆゆの声質もいいし、何より歌詞が素敵。出逢った相手がかけがえのない存在になってゆく、という一見、ラブソングのような内容ですが、書店ガールである主人公二人の様子にも当てはまる感じなのがすごく印象に残ってます。気になった方はYouTubeにてショートバージョン「戦う!書店ガール」バージョンなどが視聴できますので、まずはそちらをどうぞ。

重版出来!

松田奈緒子 作 小学館 
月刊スピリッツにて連載中で単行本12巻刊行、6月に最新刊発売予定。
ドラマは2016年4月より放送。主人公役は黒木華が起用された。

 「重版出来!」は偶々ドラマ第一話の放送を見て面白かったのでそのままワンシーズン見た後、原作コミックを読んだのですが、コミックの方を読んでみて、これはかなり原作通りの脚本でドラマをまとめていたんだなと感心した作品です。キャスティングもすごくハマってる方が多くて、変に話題集めで人気女優・人気俳優を起用とかせず、きちんと漫画雑誌の編集部と漫画家との関係や漫画を売り込むこと、作っていくことがぶれない話の軸としてドラマになっているところがよかったです。
 もちろん、ドラマ化するにあたって、一部設定や展開が変わっていたところもありましたが、残念な内容になるところもなく、ドラマとして見やすいようにエピソード編成したのだろうと納得できる感じでした。
 作中に登場する漫画家さんの原稿は実在の先生方によって書き下ろされていたのも印象的でした。(書き下ろし原稿はドラマの特設サイトで現在も一部が閲覧できます)
 原作コミックの方はまだまだ連載が続いていて、新人デビューを果たした漫画家の成長など、こちらも今後の展開が楽しみです。また、コミックの方ではドラマ版では採用されなかった、校閲や印刷所の仕事、雑誌グラビアの話やら、画集を出すための色校正やら、作家の要望に応えてオリジナルフォントを作るプロセスやら、漫画家と編集者の物語だけでなく、一つの雑誌を作る編集部として、本を作る出版社としての仕事を様々な角度から取り上げているのが興味深いです。
 境遇は違えど、諸々乗り越えて成長している中田くんとあゆちゃんが今後親しくなったりしないかなぁ……と勝手な希望も持ってます。

 ……今回は語りが多くなってしまったので紹介作数は少なめになりました。ドラマに限らず、映画なども含めて小説や漫画の映像化は原作よりも制作に関わる人が増えるし、それに伴う諸々の事情とかもあるでしょうし、映像化がヒットかつ原作ファンも納得の出来栄えにするのは色々な苦労があるのではないかなと……この辺りの事情は中山七里作の小説「スタート!」でも取り上げられていた部分なので、本当に大変なのでしょう。放送時間に収まる脚本にして、スポンサーやプロダクションの意向に折り合いをつけ、撮影中のトラブルなどに気を配り、納得できるクオリティに仕上げる……考えただけで頭がパンクしそうな煩雑さですね。

あとがき
 読酌文庫なのに、今回、お酒成分がやや少なくてすみません。春先から初夏にかけては、お酒作りも落ち着く季節なので、蔵開きや飲み歩きイベントが増えるシーズンでもありますね。3月には伏見で蔵開きのハシゴをしたり、GW中には広島県の榎酒造さんの蔵開き内で一箱古本市イベントが催されたので馳せ参じたり(シッカリ全種試飲してきました)……今年は酒ワンやサケスプリングなどの参加を見送ってしまったので、10月に開催されるであろう、日本酒ゴーアラウンドには本気を出したいですね!(飲みすぎ注意)いつか新潟酒の陣も行ってみたいなぁ……。

2019.5.25 読酌文庫(寝覚の朔)
Twitter:@00dokusyaku00
個人ブログ:月花読酌 
読書メーター:ID 363201
ペーパー内で紹介しました本の書影は版元ドットコムより拝借いたしました。
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読酌文庫/朔
果てしない自由の代償として、全て自己責任となる道を選んだ、哀れな化け狸。人里の暮らしは性に合わなかったのだ…。