決められた死を前になにを成すー映画『クワイエット・プレイスDAY1』と『渚にて 人類最後の日』を見たり読んだりした感想(ネタバレもある)

重めの仕事がひとつ終わった(これはこれからどんな山を作ろうか決める仕事であってこれから実際に土を盛り木を植え山を作る大変な作業が始まるんだけどまあいいじゃないか)上に明日は休みなので映画を見に行った。最近は映画が好きというよりも映画館という空間が好きなので映画を見に行っているところがあるなと思う。

夏ならホラーでしょ! ということで『クワイエット・プレイス DAY1』を見てきた。あまりエイリアン系のホラーは好みじゃない(私の求めている怖さではない)けれど、どうも猫がかわいいらしいというのと、映画館の音響で見た方が楽しいとの評判を見たので決めた。クワイエット・プレイスシリーズはひとつも見てないけどまあ喋ったらあかんってことくらいわかってたら大丈夫っしょ! のテンションで見に行った。

主人公は黄色いセーターを着て猫を抱えている方。横顔と瞳がとても美しい。手前のスーツ着た人は途中から合流する。あと猫。猫かわいいね〜。登場人物たちが精神安定のために猫をぎゅっと抱きしめまくっていた。猫〜!

ホラー部分についてはあらすじも何も無く、とにかく音を出したらとっても怖くて息が臭そうなエイリアンにぶっ殺される緊張感というたったひとつのネタで最後まで走り切っていた。ホラーは緊張(くるぞくるぞ)と緩和(きたー! きゃー!)の繰り返しだと言うけれど、この映画はまさにそうだった。映画館で見るべき、というのも頷ける。音のない時間の緊張感が段違いなんだ。
それに最寄りの映画館はこの映画を「極音上映」とかいう、なんなんだろうね?まあとにかくなんか音響設備がよりよい劇場で上映していた。エイリアン(なのか?)が近づいて来る一歩一歩の低音で劇場が強く振動する。なんだか私も息をしちゃいけないような気がして、とてもよい経験だった。ホラーとして楽しめた。

ところでなんでエイリアンてあんな湿度100%みたいな見た目なんだろうね。あいつら全身粘膜じゃん。紫外線とか宇宙線とか大丈夫だったの? 夏の日差しでくたばるタイプの生物だと思う。ねっちょねっちょしてる。息が臭そう。でも「息が臭い!」みたいな演技はなかったし無臭なのかしら。音を出しちゃいけない場面でそんな心配してる場合じゃないといえばまあそれはそうなんだけど。

ホラーを抜きにした物語の部分も、とても楽しめた。ちょうど2、3日前に『渚にて』を読んでいたので「なんか最近死を目前にした人間がどんな行動をするかみたいな物語ばかり接種している気がする……」と思いながら見ていた。いやこの二作品だけであって全然ギャグ漫画とかも読んでるんだけども。

http://www.tsogen.co.jp/wadai/0202_02.html

『渚にて』の終わりは人間が滅亡したあとも波の音や風の音、だんだん小さくなる動物の鳴き声が静かに続いている感じだった。『クワイエット・プレイス DAY1』も「音を出したら襲ってくる」システムからそうなってもおかしくなかったと思うんだけどあのラストよ! 愚かかもしれないけれど、めちゃくちゃかっこいい最後だった。いや当然「助からないんですの!?」「今からなんとかなりませんか!?!?」と思ったけど、でもあれでよい、と主人公が思ってやったのならあれでよい、のだと思う。少なくとも避難しようとしてぞろぞろ歩いているところを襲われるよりはずっと……ずっとなんだろうね……マシとかは違うな、うーん、「これでよい!」と言えるラストだった気がする。うん。

エイリアン系のホラー映画として最後にしっかりもうひと脅かししてくれるサービスたっぷりの映画だった。100分ずっと楽しかった!


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