どうかご無事で
ついさっきのことである。
スーパーで買い物を済ませてお店を出ると何やら数人の人がしゃがみ込んでいた。
おや?何だろうと思って近づいていくと輪の中心には九十歳くらいのおばあさんが倒れ込んでいた。
ええっ!これってヤバいんじゃないのと思って私も思わず駆け寄るとおばあさんはニコニコ笑いながら時々膝が抜けたように倒れることがあるんですよという意味の言葉を古い山口弁で話し始めた。
それからもう大丈夫ですから皆さんお世話になりましたと言って持参していたカートにつかまって立ち上がろうとしたがどう見てもフラフラしている。
これは危ないかもと思ったのでとりあえず店員さんを呼んでくることにした。
現場には私よりもお姉さまが二名二十代くらいの若者がいたので任せておいていいだろうと判断した。
サービスセンターにいたお店の人に状況を説明しがてら現場に戻るとおばあさんは立ち上がっていた。
おばあさんはもう大丈夫と何度も言っていたが転んだ拍子に頭を打っていたり腰を打っていたり膝をぶつけていたら後々大変なのでお店の人が念のため救急車を呼ぶことにした。
待つこと十分くらい、赤色灯だけつけた救急車が到着した時は集まっていた人みんなが安堵した。
それからこのくらいで大袈裟ですよとあまり乗り気ではないおばあさんとお店の人が救急車に乗ってスーパーから病院に走り去っていった。
残された我々はとりあえずできることはやったという事でお互いにお疲れさまでしたと言いつつ何となく解散。
救急車を待っている間ずっと若者がおばあさんの背中をさすっていたのが印象的だった。
私はお店の人に声をかけたくらいで大したことはしていないが、今頃おばあさんが無事に家に戻っていることを心から願う。
雨の日は滑るからカートを押しながらの歩行は危険なんだなと勉強になった。
一瞬肝を冷やした夕方の一コマでした。