炎を見るとワクワクすっぞ。
中学生の頃にブラックバス釣りに凝っていた時期がある。
釣りキチだった兄の友達に連れらえて隣町のダム湖に行ったのがはまるキッカケだった。
もちろんド素人なので釣り方も全く分からなかったが竿や疑似餌は道中にある釣具店で激安のものを買っていった。
ダム湖まで自転車で一時間半かかるのでそれだけで疲れたがそこからが勝負の時間だった。
仕掛けの作り方を手取り足取り教えてもらって針に疑似餌のゴムのワームをつけてキャスティングをした。
どこに魚がいるかも教えてもらったが何せデビュー戦なのでド下手くそで狙った場所にワームが飛んでいかない。
仕方ないのでヘロヘロと飛ばしてからカリカリと適当にリールを巻いた。
その動作を何時間も続けたがアタリはさっぱりなかった。
ううん、バス釣りは面白くないなぁと思っていると糸が急にピピンと反応があった。
あれ?ゴミでも引っかかったかなと思った瞬間に竿にビシッという衝撃が走った。
かかった!と思って勢いに任せてゴリゴリと糸を巻き取っていった。
すぐに近くの水面まで獲物を引き寄せていると友達がやってきて手繰り寄せてくれた。
大きさにして二十センチもないチビブラックバスを釣り上げた時は興奮した。
それから何度もキャスティングをしたがこの日の収穫はこの一匹のみだった。
釣りの上手い友達は三十センチのブラックバスとブルーギルを三匹釣りあげていた。
もう一人の友達と兄は一匹も釣れていないボウズだった。
釣り上げた魚はリリースせずにその場で食べる事にした。
風通しのいい湖沿いの広場に落ちていた石でかまどを作って薪を拾って火を起こした。
それから湖で魚のワタを処理して塩コショウを振ってアルミホイルに包んんで焚火の中に放り込んだ。
その頃の私はアウトドアの経験値が低かったのでこの作業のほとんどを友達にやってもらった。
焚火を囲んでしばらく待っていると香ばしい香りがしはじめた。
もういいだろという友達の声で焚火の中からアルミホイルを取り出してアツアツのうちにあけてみると見事に蒸し焼きになっていた。
箸の代用に枯れ木を使って身をほじって食べてみるとブラックバスは淡白な白身の味でこれを食べないのはもったいないというくらい美味しかった。
ブルーギルは食べるところは少ないがこれも白身でわりとイケル味だった。
何より何時間も釣りをして腹ペコだったので自分で釣り上げた魚の味は何物にも代えがたかった。
あっという間に食べ終えてバケツで水を汲んできて焚火をしっかり消してから帰宅の途についた。
その日の成功体験から私は釣りに興味を持つようになってブラックバス釣りから防波堤釣りや磯釣りが趣味の一つになった。
近所の釣具店がことごとく閉店してしまったので最近では釣りはご無沙汰である。
それでも温かい時期になってくるとウズウズする。
今年の夏は久しぶりにキス釣りにでも行ってみようかなと思っている。
そんな事を考えながら昨日の晩御飯の事を少しだけ。
週末の晩御飯だったので豪勢に庭でバーベキューをすることにした。
朝のうちに冷凍庫で眠っているお肉や魚を冷蔵庫に移しておいた。
帰り道のスーパーでお酒と野菜を補充。
帰宅してすぐに野菜の下拵え。
ピーマンを種を取って半分に割る。
ジャガイモは皮を剥いて蒸しておく。
お肉は骨付きカルビと牛タン、豚のロース肉とフランクフルト。
魚は鯵の干物を準備した。
食材の用意が出来たので庭で会場設営。
まずはブルーシートを広げて七輪で炭をおこす。
七輪は久しぶりに使ったのであちこち痛んでいたが問題なく使う事でが出来た。
均等に炭を積み上げて着火剤を千切ってガスバーナーで炙っていく。
あっという間に火柱が立ってパチパチと炭が爆ぜる音がするがすぐには火はつかない。
バーナーの火をあてながら団扇で空気を送ってやるといい塩梅に炭に火がついていった。
後は五分も放置しておけばちょうどいい炭火に落ち着く。
その間に食材を運んで妻を呼ぶ。
うわぁ、テンションが上がるね!と興奮気味だった。
まずは乾杯から。
ビールのプルタブをポッシュと起こして紙コップに注ぐ。
ではと言いながらキュビッと飲む。
紙コップ特有の口当たりにこれからの炭火焼きの期待が膨らむ。
宴のオープニングアクトはフランクフルトで決まり。
気を付けていないとあっという間に焦げるので酔いが回る前に焼き始めるのが丁度いい。
クリクリと軸を転がしながら焼いていくと見るからに美味しそうな焦げ目がついていく。
全体がこんがりと焼けたら食べごろ。
妻に一本渡して自分の分を齧る。
パリッと表面が香ばしく肉の旨味が広がる。
うん、炭火効果ってすごいなと思いつつ次は牛タンを焼く。
これは薄いのでさっと炙るだけでいい。
レモンをかけて塩コショウをつけて食べるとクニクニした歯ごたえでそれが楽しい。
合い間に野菜を網にのせて焼いておく。
次に一押し食材の骨付きカルビを網に乗せる。
しっかり目に両面を焼いて焼き肉のたれで食べると脂がジュワッと染み出してきてかなりイケる。
骨の周りのお肉は美味しいんだなぁという事を改めて感じる味だった。
ここまで一通り焼いたので後は食べたいものをランダムに焼いて楽しんだ。
お酒は二本目を飲み終えて三本目になっている。
肉類をあらかた食べた後で次は魚を焼くことにした。
皮を下にして鯵の干物を遠火の強火でじっくり面倒を見る。
魚の焼ける匂いもなかなか食欲をそそる。
両面こんがりと焼いてからハムッと食べると身はふんわりとしており皮はパリッとしていてとても美味しかった。
四本目のビールが進む進む。
それから炭火を眺めながら妻と日ごろしないまじめな話をしたりした。
お腹はけっこういっぱいだったが締めの焼きおにぎりまでしっかり堪能した。
食べ終えた後も炭火は元気だったのでバケツで七輪に何度も水をかけてしっかり鎮火させて宴は終了。
大盤振る舞いをしたので冷凍庫はスッカラカンである。
今日の晩御飯はあるもので拵えよう。
庭での炭火ご飯、贅沢だった。
梅雨に入る前に両親を招いてご馳走しようかしら。
楽しい事はみんなで分け合わないとね。
いやはやハッピーハッピー。
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