一目会ったその日から
本日は恋愛の話ですが最近のマッチングアプリの事はよくわからないので昭和時代の事を語っております。
男女の初めての出会いで大抵は出るであろう話題がご趣味は?というものである。
私の両親はお見合い結婚であるが、その質問に対して父は麻雀ですと答えたらしい。
当時父は車の免許を持っておらず、若者の憧れであったドライブという素敵な趣味は持ち合わせていなかった。
かといって定番の読書や映画鑑賞と言った無難な答えではインパクトを残せないと思った父なりのユーモアと自分の印象を残すための勇気を振り絞った一言だったそうだ。
確かに昭和四十年代の男は飲む、打つ、買うの三拍子が揃って一人前という風潮があった。
何をとは言わないが父は買う事以外の二つとは深いお付き合いをしていた。
母はその父の一言を聞いてええ、この人はないわぁと思ったらしくお見合いの席では猫を被って私の趣味は音楽鑑賞ですわと答えて、当時好きだったフォークシンガーの名前を挙げてご存じですか?話を振ったらしい。
しかし父は音楽という情緒を一ミリも理解をしないようなバンカラなタイプだったので会話は全く盛り上がらなかったそうだ。
そんなぎくしゃくした感じで終始したのでこのお見合いは失敗に終わるかと思われた。
今はもうそんな事をする人はいないと思うが、お見合いが終わったらご近所さんに相手の方の評判や人となりを聞いて回る問い聞きという探偵の素行調査みたいなことを親族が行っていた。
その時に父の近所からの評判がすこぶる良く、真面目に働くし20代で小さいながらも自分の家を建てた経済力があると受けが良かった。
それを聞いた母は興味が少し沸いたらしくもう一度会ってみようという気になったそうである。
そして二度目のデートで父から結婚を前提にお付き合いしてくれませんかと告白されて、こくんとうなずいた母との交際がめでたく始まったのである。
付き合い始めてから母が驚いたのは父の羽振りの良さで、移動は免許が無いので常にタクシーで運賃もちょっとしたお釣りだったらチップとして運転手に渡している所だったという。
当時のデートの定番は映画かボーリングで、父はボーリング場でアルバイトをしていた経験があったのでかなり上手かったそうだ。
パッと見は冴えないグリグリメガネの青年なのだがグイグイとリードしてくれる力強さにだんだん母も結婚の二文字がリアルに浮かんできたらしい。
そして10か月の交際で二人はめでたくゴールインした。
私の記憶が正しければ来年は金婚式である。
この歳まで大病を患わずまずまず両親が元気なのはありがたい。
結婚とは赤の他人同士が一緒に暮らし始めるのだから衝突や価値観の違いなどで一悶着も二悶着もあるものである。
その山を一つ一つ乗り越えての五十年である。
これは大変に素晴らしい事だと思う。
我が家はまだ二十年足らず、ここから後三十年…。
いやぁ、夫婦生活を継続するのって凄い事ですねぇ。
そんな事を考えながら昨日の晩御飯がこちら。
今現在妻が虫歯の治療中なのでなるべく柔らかいものを作るようにしている。
昨日のメインは豆腐ステーキ。
木綿豆腐を水切りしておく。
その間に副菜づくり。
はんぺんを刻んで溶き卵に混ぜる。
味付けは白だしのみ。
火を点けて油を敷いた卵焼き器でクルクルと巻いていく。
所々はんぺんがはみ出しているが卵焼きの出来上がり。
もう一品は鶏ささみをレンジでチンして水にとって冷ます。
それをほぐしてから叩いた梅干しと麺つゆで味をつけて海苔を散らして梅ささみの完成。
豆腐の水切りが終わったら両面こんがりと焼いて仕上げに焼き肉のタレをかけてネギをたっぷり散らす。
ぬか漬けは人参。
ようし、できたと思い妻を呼ぶ。
いただきますをして食べ始める。
昨日は休肝日。
まずは卵焼きから食べる。
はんぺんのフワッとした食感が楽しい。
ちょっとした変わり種だがこういう卵焼きもたまにはいい。
次にぬか漬けを漬かりがちょっと浅かった。
次に梅ささみを食べる。
細かくささ身をほぐしているので食べやすい。
海苔がいい仕事をしている。
梅味なので爽やかで食が進む。
ではメインの豆腐ステーキを。
こんがり焼いているので香ばしい、焼き肉のタレ味もパンチがあってよかった。
妻がこの献立なら食べやすいわ、ありがとうと言ってくれたのが嬉しかった。
あまり食べすぎないように腹八分目でご馳走様。
一組の男女が出会って恋をして一緒に暮らして家庭を築いていく。
何の波風の立たない夫婦なんていないんじゃないかなぁ。
ウチも昔は価値観の違いでぶつかってばかりだったもの。
まあお互いを尊重することが一番大切だよなぁと気が付いたのは結婚してずいぶん経ってから。
もちろん妻を世界一愛していますよ、うふふ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?