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体育祭はやんちゃな子の檜舞台
今朝はずいぶんと涼しい朝だった。
風がひんやりとしておりゴミ捨てに行くときに秋の虫の鳴き声と相まってああ、秋だなぁと感じた。
部屋に戻って温度計を見ると23℃しかない。
ほんの二週間前までは28℃とかあったので気温が安定して下がってきたなと感じる。
日中の気温も30℃に届くかどうかくらいなので、真夏のぶっ倒れるようなクラクラした日差しも幾分か緩んできたようだ。
この時期になると思い出すのは高校の体育祭である。
いつも決まって二学期が始まって最初の日曜日に開催されていた。
新学期のホームルームの最初の議題は誰が何の競技に出るかという話題だった。
全員参加が強制だったのでみんな何かしらの競技に出なければならなかった。
高校の体育祭なので大玉転がしやスプーン競争と言ったお遊びの要素が強いものはなく棒倒しや騎馬戦、組体操などの身体を張った競技が多かった。
私は当時身体を鍛えていたので体力には自信があった。
なので棒倒しと騎馬戦にエントリーをした。
棒倒しは守備側が棒を立てて円陣を組んで防御している所に攻撃側が棒を倒そうと飛び掛かってくる物騒な競技だった。
騎馬戦も体重が重かったので下の騎馬の先頭を務める事が多かった。
女子は荒っぽい競技は無くてダンスなんかのような穏やかな競技をしていたように記憶している。
何せ開催まで一週間しか練習期間が無く、実際には体育の時間と放課後の全体練習だけしか準備は出来なかった。
とはいえほとんどの競技は小学生のころからやってきているので大した練習も必要なかった。
問題は血の気の多い先輩たちを刺激しないことで下手に目立ったり、活躍したりすると後々放課後校庭の裏に来い案件になる事だった。
そうしてバタバタして迎えた体育祭当日。
まずは選手宣誓があって校長の長~い話をほとんど聞き流して競技開始である。
高校生の体育祭ともなると保護者が来る事も無いので見られて恥ずかしいという事はなかった。
百メートル走や障害物競走などの比較的穏やかな競技が続いて午前中のハイライトは棒倒しである。
守り手が棒を立てて審判の体育教師がピストルを鳴らすとヤンチャな先輩がここぞとばかりに襲ってくる。
飛び蹴りやパンチは当たり前で守る側も先輩たちがローキックをガンガンに入れていた。
激しくもみ合っていると途中でケンカが始まるのでそれを引きはがすの教師の役目だった。
みんな殺気立っており完全に眼がイッちゃっている先輩を見ておっかねぇと思っていたら競技は終了だった。
お昼は各自が持ってきた弁当を食べて一休みしたら午後の競技の再会である。
午後は女子の明らかな練習不足による不揃いなダンスを少しだけエッチな目でニタニタと眺めながら英気を養った。
そこから細かい競技をいくつか挟んで騎馬戦が始まった。
騎馬戦も血の気の多い先輩の独壇場で突撃してくるのは大抵ヤンキーの特攻隊長のような人だった。
棒倒しに比べるとまだ穏やかな競技で特に因縁が生まれる事は少なかったように思う。
体育祭の中締めの競技は組体操で基本的な事は小学校からやってきているので特に問題なくこなすことができたのだが、最後のピラミッドだけは辛かった。
ピラミッドは八段構成で私は一番下の土台だった。
上にどんどん人が乗ってきてその度に膝や脛に小石が食い込んで痛いのなんの。
歯をくいしばって耐えている間はピラミッドがどこまでできているのかさっぱりわからない。
そのうちに笛の音が成るので上を向いて右を見て左を見て次の笛の音で一斉にピラミッドが崩れていく。
この時の衝撃と重さは今でもありゃ辛かったなぁと思いだす。
組体操が終わると最終種目はもちろんリレーである。
各運動部から選抜された健脚自慢がずらりと並ぶ。
ピストルの合図が鳴って走り出すとグラウンドは熱狂の渦に包まれた。
女子のキャアキャアという黄色い声援と男子の野太い叫び声が一緒になって待機テント内はカオスである。
アンカーまで勝負がもつれた時に陸上部対野球部の俊足自慢が競い合ったのは今でも思い出せる名シーンである。
リードを貰ってスタートした野球部員を陸上部員がみるみるうちに追い上げていきゴール前の大接戦で野球部員が逃げ切った時は競馬場での名勝負を見た観客の気持ちってこんな感じなのかなと思った。
リレーは最終的に大量ポイントがつくのでそこで何組が勝つか逆転することもあった。
そこの当たりの事はさすがによく覚えていないが優勝したっけな。
放課後には先輩が因縁をつけにこないかビクビクしながら早々に帰宅していた。
幸い私のようなモブキャラは目立つことが少なかったのでターゲットにはならずに済んだ。
体育祭の後は体中擦り傷と痣だらけでお風呂に入るのが沁みたものである。
三年生になったら先輩風をビュウビュウ吹かして下級生を威圧したのは言うまでもない。
歴史は繰り返す。
バカ学生は愚かなり。
スポーツの秋の始まりの頃の懐かしい思い出話でした。