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永遠のピコピコ小僧
私が子どもの頃の娯楽といえば何と言ってもテレビゲームである。
初めて我が家に来たゲーム機は新しいもの好きの父が買ってきてくれたエポック社のカセットビジョンだった。
ゲームソフトはきこりの与作の一本だけだったが、これに大はまりした。
木を切り倒しながら飛んでいるトンビの糞をかわしたり、突進してくるイノシシや地面から出てくるマムシを退治するという非常に忙しいゲームだった。
兄と一緒になって猿の様に遊んだものである。
しかし父が新しいカセットを買ってくれなかったのでさすがに半年くらいで飽きてしまった。
そのうちにほこりをかぶったカセットビジョンはいとこの家にもらわれていった。
それからしばらくはテレビゲームとは無縁の生活をしていたのだが、ある日新しいゲーム機が発売されるという話を聞いた。
それが任天堂から発売されたファミリーコンピューターである。
友達の家でドンキーコングをプレイした時のグラフィックの美しさと抜群の操作性に驚愕した。
家に帰ってすぐに父にファミコンを買ってほしいとねだったが高価な玩具だったので相手にされなかった。
ちぇっとしょんぼりしながら友達の家に入り浸ってマリオブラザーズやアイスクライマーといった本来なら協力してゲームを進めるところをお互いの邪魔をして陥れる対戦ゲームに熱中した。
そのころはまだあの有名なゲーム名人の格言であるゲームは一日一時間という当時の子どもからしたら呪いのような言葉も浸透していなかったので思う存分遊ぶことが出来た。
とはいえ友達の家にいつまでもいるわけにもいかず夕方の五時のサイレンが鳴るまでには帰宅しなければならなかった。
あ~あウチにもファミコンがあったらなぁと思いながら日々を過ごしていた。
その願いがあっさり叶ったのは小学三年生のクリスマスの事だった。
25日の朝に目を覚ますと兄の枕元に大きな赤い包装紙に包まれたプレゼントが置いてあった。
もしかしてこれは…と思いながら二人でビリビリと包装紙を破ると果たして中身は夢にまで見たファミコンの本体だった。
あの時は喜びと興奮で全身の毛穴が開いて大興奮してすぐに父にサンタさんがファミコンくれた!と報告すると新聞を読んでいた父がそうかといってニコッとしていたのをよく覚えている。
その時に一緒にプレゼントしてもらったソフトはジャレコの名作忍者じゃじゃ丸君だった。
早速テレビにファミコンを繋いでもらってパチンと電源を入れるとゲームのオープニング画面がパッと映った。
家にファミコンがあるという事実に打ち震えながらスタートボタンを押してプレイした。
このゲームは妖怪を退治しつつボスのナマズ大夫を倒してヒロインの雪姫を救出するという単純明快なものだったが、ほどほどに難易度が高くすぐにゲームオーバーになった。
兄と交互に遊びながら何度もコンティニューして遊び倒した。
さすがにずっと遊んでいると母からはい、今日はこれでおしまいと言われたので大人しく従った。
その日から私の家にも友達が各々の自慢のファミコンカセットを持ち寄って遊ぶようになった。
数か月もすると私はじゃじゃ丸君を極めたので新しいカセットが欲しくなった。
そうは言ってもゲームソフトは当時から高価だったのでおいそれと買ってもらえるものでは無かった。
なので友達とゲームの交換をする事にした。
じゃじゃ丸君は人気ソフトだったので結構色々なゲームと貸し借りが出来た。
そのうちにお年玉や誕生日プレゼントで少しづつゲームソフトを揃えていった。
ちょうど町にも中古ゲーム屋さんが乱立していたので安くなったソフトをコツコツと買い集めていった。
何だかんだで最終的には百本近いソフトが集まった。
ファミコンはそのうちにスーパーファミコンに進化して新しい時代が始まった。
もちろんゲーム熱は冷めることなくますます夢中になっていった。
そこからニンテンドウ64、セガサターン、プレイステーションとゲームを遊び続けて現在の任天堂switchまで続いている。
これまでのゲーム人生で使ったお金は軽自動車一台位は余裕で買える額になっていると思う。
今でも最新のゲームも遊ぶがレトロゲームもよくプレイする。
私は物持ちがいいので昔のゲーム機が今でも元気に稼働している。
そんな中で一度手放してしまったゲームを再び遊びたいと思う事がよくある。
かつてあれほど町中にあった中古ゲーム専門店は近所にはもうない。
うう、どうしても遊びたい…と思った時に利用するのがメルカリである。
大したもので自分の欲しいものを検索すると大抵誰かが出品している。
その中でこの人ならばと思う人にメッセージを送って購入して数日後無事に手元にゲームソフトが届いた時には頬ずりをしたくなるほど嬉しい。
最近だと機動警察パトレイバーのスーパーファミコンのソフトを格安で譲っていただいた。
今は暇を見つけてコツコツレベル上げをしている時間がとても楽しい。
一昔前だったら古いゲームはもう手に入らないよなとあきらめてしまっていたが、メルカリがあるおかげで随分収集が捗るようになった。
おそらくレトロゲームとの縁が切れる事はないと思うのでこれからも遊び続けていきたい。
そうだ、あのゲーム確か続編があったよな。
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