#2 マーモットみたいになれたら。
SNSで1番使っているのがインスタグラムで、一度特定の投稿にいいねをすると、次々とおすすめに同じような投稿が上がってくるーーこの機能によって自分のマイブームがより感覚的にわかるようになった。
次々と出てくるマーモットの動画、写真、マーモットの創作物の投稿。つい見れば見るほど引き込まれるマーモットの世界。
そもそもマーモットとはどんな動物なのか。Wikipediaによると齧歯目リス科でリスの仲間。生息は、「主にアルプス山脈、カルパチア山脈、タトラ山脈、ピレネー山脈、ロッキー山脈、シェラネバダ山脈、ヒマラヤ山脈などの山岳地帯」との記載がある。
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山脈に生きるマーモットはいつの日からか、人間のペットとしても飼育されるようになって、マーモットを写した動画がインスタグラムに溢れている。
色々な種類がいるマーモットだけれど、ここではヒマラヤマーモットと言われる種類のマーモットについて考える。顔はあんまり可愛くない。口から少し見える前歯、むちむちとした肉付き、太くて短い脚、そして何よりふてぶてしい態度。動画でよく見るのは2,3頭がとにかく揉めているような動画。二本足で立ち、相撲を取るように相手を押し合ったり、掴み合いをしているんだけど、噛み付いたり威嚇したりの姿は少ない。パッと見「揉めている」という感じ。
ネットで調べる限りは、どうやらコミュニケーションの一環のよう。戯れているといったら、もう少し程度が大きくて、やっぱり揉めてる。2匹で揉めてるうちに、もう1匹が仲裁に入って、気が付いたら仲裁役の1匹と元の2匹のうちの1匹が揉めてる。マーモットの世界は大変だ。
海外の投稿がほとんどだけれど、飼育されたマーモットは大概ふてぶてしく、甘やかされて堕落したような生活が目立つ。可愛くないけど、とにかく図々しい態度で生活している。毎日毎日マーモットの動画を見ていたら、どこかでマーモットに憧れる自分がいる。愛想笑いとか、他人への気遣いとか、そういった空気を読んだ行動だとか、そういった態度が必要ない世界。毎日揉めてるけど、噛み付いたり戦ったりはしない日常。
相手の立場や気持ちを想像して慮ったり、自分の立場や気持ちを汲んで態度をコントロールしたり、人間生活の日常は息苦しいことが多い。社会で生きる処世術として、無意識に、あるいは自然に装えるようになった平静だとか、本当みたいな嘘とか嘘くさい本当の話とか、少なくとも自分の言動にはそう言ったものが溢れていて、気づいたらそれこそが自分の輪郭となって自分を形成し始める。本当の自分は…とか考えた頃には、もう"本当の自分”なんかどこにもいない現状。頼まれもしないのに、一体自分はどこに神経を使っているのだろうと自分に問う。
マーモットみたいになれたら、と思う。太々しく生きるその姿に憧れる。マーモットの態度から学ぶことは大きい。