田舎とノブレス・オブリージュ
都会のことはあまり知らないので、少し的外れかもしれないが田舎の組織はノブレス・オブリージュの精神が強く出ているように思える。
ノブレス・オブリージュとはつまり、身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという道徳観である。法的義務や責任ではないが、自己の利益を優先することのないような行動を促す、社会の心理的規範のことだ。
インフラや娯楽の弱い片田舎は、それらを補うための主体として○○青年部などの地域団体に白羽の矢が立つことがある。彼らの滅私奉公の精神自体は疑う余地もないほど立派であるが、行き過ぎた道徳観は時に毒になる。田舎特有の生きにくさは、これから生まれている側面があるのではないだろうか。
事業をやっている者は地域団体に「属さなければいけない」。属した以上は任期まで「勤め上げなければならない」。活動の費用・時間は自らが捻出しなければならない。脱落した者は自分のことしか考えてないので、ムラハチにあっても「仕方がない」。
人口減少に悩まされる現代、「誰々が何とかしなければならない」という地域を覆う意識はかつてより強くなっているように感じる。だからこそ、これら道徳観が暴走する場面はもしかすると、増えているのかもしれない。
奉仕の心は祈りだったはずである。その精神性そのものを否定する余地はない。ただ、改めて行き過ぎた道徳心は時に毒になる。時代は変化し続けている。祈りを病にしない為には、変えるべきものと変わるべきでないものを各員がしっかりと見つめ直すべき時が来ているのかもしれない。
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