【は】 配石
配石 【はいせき】 旧石器電子辞書
※ 写真(上) 山梨県丘の公園第2遺跡の配石
1kg以上の重量の大型礫が点在分布する遺構を配石と呼ぶ。非焼け礫の場合が多いが、必ずしも焼けていない礫ばかりで構成されることはない。大型礫ばかりでなく、小型の非焼け礫数点が伴う場合もある。また、重量基準については900g以上とする研究もある。日本列島の後期旧石器から細石刃石器群まで、多様な時期に存在する。
分布位置は多様である。通常は、石器ブロックや礫群から離れて分布する。しかし、石器ブロックの中心部に位置する場合もある。配石の大型礫に敲打痕が認められる場合は、台石、敲石などの石器として扱われる場合もある。また、礫群の周縁部に非焼け礫の大型礫が1点配置されるような例が比較的多くみられ、これを配石として認識する場合ある。礫群構成礫の重量分布とはかけ離れて大型であることが見分ける基準となる。
神奈川県柏ヶ谷長ヲサ遺跡の配石(左の大きな礫3点) 細石刃石器群
多数の大型礫で構成される配石遺構がある。長崎県や佐賀県の遺跡では、扁平大型礫をコ字やU字形に配置する配石遺構がある。大阪府粟生間谷遺跡のように弧状に配列し、住居の裾構造の一部である可能性も推定されるものもある。
配石とは違い、比較的小型の非焼け礫で構成される遺構がある。神奈川県田名向原遺跡では住居状遺構の周縁部に「外周円礫」と呼ぶ富士玄武岩を主体とする環状の礫分布帯がみられる。拳大程度の非焼けで構成される礫ブロックや、微細礫で構成される「砂礫堆」もあげられる。
(保坂康夫)
参考文献 保坂康夫2012『日本旧石器時代の礫群をめぐる総合的研究』