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14歳 旧石器ごころを目覚めさせた石器

あと1ヶ月ちょっとで還暦だ。
自分が60歳になるなんて、ちょっと想像できない。
そして何十年も「石器屋」を続けているとは・・・

もともと現在の自宅のある場所がりんご畑で、弥生から奈良・平安にかけての円正坊という集落遺跡、畑を耕していると真っ赤な箱清水式土器(弥生後期)がうんざりするくらい出てきた。あまりに”ガサガサ”出てくるので、いくら考古学に興味があるとはいえ、土器に対する関心が急激に薄れていった。

そんな中学2年のおり、佐久市教育委員会の林幸彦さん(國學院で卒論が旧石器)が、野辺山高原の旧石器遺跡に車で連れていってくれたのだ。
畑にキラリと光って見えた黒曜石、私が初めて旧石器に出会った瞬間である。弥生時代より1万年以上も前、土器を作ることも知らなかった人類の道具とは驚いた。

そのうち同級生と小海線の始発にゆられること2時間、JR最高地点にある野辺山駅(標高1300m)で下車し、小海沿いに矢出川遺跡-柏垂遺跡-馬場平遺跡と表採に回って、川上駅から小海線に乗り、家に帰るというコースが定番となった。
矢出川ではマイクロコアが拾えた。柏垂遺跡では、当時ポイント(尖頭器)やナイフ(ナイフ形石器)などの旧石器が結構ひろえて、友達と戦利品を競い合った。

なかでも今でもお気に入りなのが、冒頭の写真人物(長男の耀)が握っている黒曜石の茂呂型ナイフ形石器である。柏垂遺跡で表採(表面採集)菱形をして先端が尖り、半透明でとても質の良い黒曜石で出来ている。
先端には衝撃を受けたキズがあるので、ヤリ先などに使われたのだろう。
2万年以上前の旧石器と考えられる。

その後、40年以上にわたる、旧石器人生を歩ませてくれた石器のひとつで、私の宝ものである。

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やはり中学2年の頃 父親に連れて行ってもらった岩宿遺跡で


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