《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法 その13 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-⑦ 「注意しまくる子ども」
事例7 喧しいと勉強できないので《自分ルー
ル》でクラスメイトを注意する子ども
4年生の国語の時間。先生が説明しているが、聞いてないでしゃべるクラスメイトがいる。すると、Ḡ君が立ち上がって「静かにしろや。先生が話しているだろう!」と大きな声で注意した。教室がシーンとなり、先生が「Ḡ 君、注意してくれてありがとう」とお礼を言った。
それ以来。Ḡ君は事あるごとに「静かにしろ」と叫ぶようになった。
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【解説】Ḡ君は、クラスメイトのことを考えて「静かにしろ」と言っているわけではありません。もちろん、先生のためにも言っていません。自分が「先生の話が、聞きにくい」ので言っているだけです。
つまり「静かにしろや。先生が話しているだろう!(お前らが話していると、おれが聞けないだろう)」と《自分ルール》を言っているのです。それに対して、先生がお礼を言ったので、Ḡ君は「この自分ルールは、いいことだ」と思い込んで「静かにしろ」を連発するようになったのです。
本当は「先生が話し始めたら、自動的に静かになる」クラス経営をしておかなければいけないのです。
【セリフ】
先生「G君、君は勉強を頑張りたいだね。だから、みんなに静かにして欲し
いんだろう(「想像」)その考えは、いいことだね(「共感」)。」
G君「・・・」
先生「でもね、君の注意する声が一番大きいんだよ(「覚えて」)。Ḡ君の
声が、先生の授業の一番の邪魔です。」
G君「邪魔?」
先生「そうです。やめてください。でも、教室が喧しいのは先生の責任なの
で、これからはきちんと静かなクラスにするようにしていきます
(「覚えて」)。今回、喧しかったのは、申し訳なかったね。もう1
回、初めから説明するね。分かりましたか?」
G君「分かった。」
先生「『かりました』だね(「覚えて」)。」
G君「分かりました。」
先生「じゃ、何が分かったか、言ってみて。」
G君「教室を静かにさせるのは、先生の責任。」
先生「そうですね。よくわかってくれました(「共感」)。みんなも、先生
が話し始めたら、先生の方を見るというルールを徹底してください。
さぁ、今から話し始めるぞ。さて、みんなは、どうするんだった?」