受け入れの方法とスキル 第3段階 その3
11月のある日の様子を書きます。
② 3時間目
朝の会で、みーちゃんが3時間目に選んだのは「栽培活動」でした。今、畑では、トマトとキュウリとオクラがなっています。もう、今日で収穫が終わりそうです。
代わりに、ジャガイモと大根を植えています。その水やりもしないといけません。
「畑に行くよ」と声かけすると、見通しが出てきたみーちゃんは、靴をはいてじょうろを持っています。
みーちゃんは、まずじょうろでジャガイモと大根に水をやりました。
先生「ジャガイモさんと大根さんが、水をもらって喜んでるよね(「共
感」)。ありがとうって行っているよ。」
みーちゃんは、嬉しそうに大根の双葉を見ています。
先生「みーちゃん見て。もう、ミニトマトおしまいだね。あと何個ある?取
ってみて。」
伊藤先生は、みーちゃんと一緒になって数えました。
先生「1、2、3、4、5。さぁ、何個だった。」
みー「5個」
先生「そうだね、5個でおしまいだったね。持って帰って、みんなで食べよ
ようか?」
食べたあと、みーちゃんはいつも野菜の図鑑を見ます。最近の図鑑は、ミニトマトの種類がたくさん載っています。
先生「みーちゃん。みーちゃんの作っているトマトはどれかな?」
みーちゃんは、指さしました。
先生「それだね。ほら、ここに名前が書いてあるよ。『ローマトマト』って
書いてあるね。イタリアのミニトマトだって(「覚えて」)。言ってみ
て。」
みー「ローマトマト。」
先生「そう、みーちゃん、よく言えたね(「共感」)。すぐ、覚えて偉い
ね。ほら、ここ見て。ここに『ローマトマト』ってお書いてあるのよ。
この字みえる?小さいね。見えにくいでしょう(「想像」)。だから、
黒板に大きく書いてあげるね。」
伊藤先生は、国語用のマス目のある小黒板に「トマト」と書きました。
先生「これで、『と・ま・と』って読むんだよ。大きく書いたらから見えた
でしょう?」
みーちゃんは、図鑑と小黒板を交互に見ています。チャンスです。今まで、あまり黒板を見なかったのに、今日は、見ています。
先生「これ、カタカナというのよ。みーちゃんも書いてみる?」
みーちゃんは、嫌ではなさそうです。もう何週間も前から鉛筆やノートは、用意してあります。鉛筆を使ってお絵かきも練習しています。でもまだ、早い気がするので、チョークで同じ小黒板に書いてもらうことにしました。
先生「じゃ、これどうぞ。チョークというのよ。先生の横、ここに書いてみ
たら?」
伊藤先生は、小黒板を床の上に置いてあげて、書いたらいいマス目を指差してあげました。
書きました。みーちゃんが初めての文字を書きました。チョークだし、まだ手指のコントロールもうまく言っていないので、上手ではありませんが
書けました。みーちゃんは、伊藤先生を見上げました。
伊藤生は嬉しくなって、ぎゅうっと抱きしめました。普段ならそんなことをされると嫌がるみーちゃんですが、今日は微笑んでいます。
先生「書けたね。みーちゃんの書いた、初めての字だね。写真に撮っておく
ね。これで『と・ま・と』と読むんだよ。」
伊藤先生は、スマフォで写メしながら、みーちゃんの初めて書いた字が、「とまと」で、それもカタカナだったなと思いました。