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Mリーガーの一打①その1(10/6第1試合:村上選手の引き出しの多さ)

皆さんこんにちは。
いよいよMリーグが始まったということで、麻雀熱が高まってきた人も多いのではないでしょうか。Mリーグも3年目となり、さらなる盛り上がりを期待してしまうのですが、2日目の第1試合を目の当たりにすると、心配など吹き飛んでしまうくらいのワクワクドキドキ感満載の試合でした。ということで、これからは「Mリーガーの一打」と題し、Mリーグの観戦記を定期的に書いていきたいと思いますのでお読みいただければ嬉しく思います。

とはいえ今回の試合は見所が非常に多く、全てを記事にするとかなりの文字量になってしまうということで、今回は試合結果を大きく左右した、村上選手の引き出しの多さに主にスポットを当てていきたいと思います。すでに試合を見た方、見逃してしまった方、どちらも満足いただけるように頑張りますのでよろしくお願いします。それでは早速いきましょう!

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試合は東1局から息を飲む展開。まずこちら村上選手の手牌ですが、9巡目に4筒が入り、3萬と9萬のシャボ待ちでリーチ。下家の近藤選手は筒子か国士、対面の多井選手と上家の石橋選手は比較的普通の捨て牌ですが、2萬や8萬などを切っているのでこの待ちは山に残っている可能性が少し高いと考えられます。

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だがそれを待ち構えていたのは近藤選手。リーチを受けて一旦安全牌の南を切りますが、手牌は国士無双の一向聴。その後6萬も切ってやる気満々で臨戦態勢です。近藤選手はオリジナリティーあふれる手作りで高打点の手牌を成就させることに長けている選手、この手も仕上げることができるか。

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一方こちらは多井選手の手牌。6萬を押した近藤選手を警戒しつつも他に安牌がない、ということで中の切り出し。自他ともに認める守備型で、精度の高い読みでなかなか放銃することはないですが、流石にリーチと国士に挟まれると対応が難しそう。

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そして最後にやってきたのが親の石橋選手。普段は「黒いデジタル」と呼ばれる、相手の読みを外す手作りを得意とする選手ですが、今回は本手中の本手。最低ハネマン、高めツモなら倍満の大物手で村上選手を追っかけリーチ!
そしてその結末は!!

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2人の大物手をかいくぐり、村上選手がなんとか1000.2000のツモアガリ。逆に大物手を成就させられなかった石橋選手は名残惜しい開局となりました。

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東2局は村上選手が再度シャボ待ちをツモりあげて1000オールの和了。

続く東2局1本場、ここで大きく点棒が動きます。手なりで進めた9巡目、村上選手が8索を引き聴牌。2萬を切って2−5索で待つのは確定なのですが、問題はリーチを掛けるか否か。この問題に関してはこれまでの記事でも書いてきましたが、やはりMリーガーになってもこれは非常にデリケートな問題。つまりダマで確実に12000点を取りに行くか、はたまたリーチをかけて相手を牽制しつつツモ和了の6000点オールを狙いに行くか。皆さんはどう考えるでしょうか。そして村上選手の選択は、、?

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少し見にくいですが、2萬は縦置き、つまりダマです。そしてその2萬を、、

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近藤選手がチー。残り2枚の1索の片アガリですが、3索がドラで鳴いても満貫なので面前で行くより鳴いた方がいいと思います。123のチーなので1索も多少は警戒されるかもしれませんが、現時点では他家もすぐにオリるということはないと思うので、アガれる可能性は十分あります。

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しかし次巡、4萬をツモってきた村上選手は手の中から4萬を切ってリーチ!そう、空切りリーチです。さて、先ほどはダマにしたのに、ここでリーチと行く理由は何なのでしょうか。少し考えてみましょう。

まずダマにした理由。
①守備力…当然危険牌をつかんでもオリられるのはメリットですね。しかしこの手でオリる人はまずいないと思うので、今回この理由は考えられません。
②出アガリのしやすさ…当然リーチと比べて相手の警戒感は薄れるので非常に出アガリしやすいと考えます。細かい理由は他にもあるかと思いますが、やはりこの理由が全てだと思います。

ではなぜ次巡リーチをしたのでしょうか。よく見ると、仕掛けた近藤の捨て牌に5索があるので普段より出アガリの可能性が上がっていると考えられるのですが、それでもリーチをした理由とは。
①打点アップ…当然これもあるでしょう。ツモれば18000点の収入なので大きな違いです。
②相手を牽制する…先ほどのダマの理由②と関係するのですが、ダマにして相手を自由に打たせるということは逆にいえば自分より先にアガられる可能性も高まるということです。ということは相手の足を止めながら、自分がツモれる数を増やす、というのも十分なメリットですね。村上選手はおそらくこれを一番重視したのだと思います。

さて、では試合に戻りましょう。満貫vs跳満。勝者は、、?

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結果はリーチ一発目に赤5萬を打ち、真っ向勝負を挑んだ近藤選手が、次巡つかんだ2索をツモ切り、村上選手に18000点の放銃。勝手な憶測ですが、愚形リーチを立て続けにアガった村上選手のイメージが脳裏に残っていたのかもしれません。

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続く東2局2本場。もう5万点を超え、とりあえず様子見でもいいという人もいるかもしれませんが、やはりそこは一流。稼げる時は稼ぐと言わんばかりに、ここでも村上選手は手を緩めず、まずダブ東をポンして、続く2筒もチー。一気にホンイツへ、、。と思いきや、

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村上選手の手から放たれた牌は中。さて、この打牌にもプレーヤーの特徴が表れると思うので少し掘り下げたいと思います。
まず打牌候補は5萬、9筒、西、中の4種類ですが、それぞれに一長一短があって、絶対に切ってはいけない牌というものはないと思います。

打5萬は危険な牌を先に切ることで守備力を維持でき、ダブ東ホンイツ確定で12000点の高打点になります。ただ受け入れが少ないという弱点もあり。
打9筒は字牌を保持する事で多少の安全を維持しつつ5萬にくっつけての5800点でもいいという一打。ただ筒子の上を引いた時に裏目になる可能性も。
打西は攻撃寄りの一打。受け入れは最大に、中が対子になって赤5筒を引けば跳満まであります。ただ守備力は低めです。
打中はそれよりも多少守備力を上げた一打で、1枚切れの西でリーチに備えつつ、9筒も5萬のくっつきも逃さない、村上選手らしい一打だと思います。
そして更なるメリットがあるのですが、、それは次巡の一打で効果を発揮します。

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次巡引いてきたのは3筒。ここで皆さんは何を切るでしょうか?ここで村上選手が選んだのは、、

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この場面では同じ選択をする人も多いと思いますが、それでもこの捨て牌はなかなか強烈。生牌の中→9筒の切り順なら聴牌している可能性は十分あり、ダブ東ホンイツの親満が見えている状況で、相手が感じるプレッシャーは想像に難くありません。そして案の定、、、

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ドラ3枚を抱える石橋選手は7筒を切りきれず手狭に構えてしまい、次巡3筒をツモって再度打8萬。そして、、、

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たらればになりますが、もし最初の場面で7筒を切っていればこの7萬で満貫の聴牌となっていました。まさに村上選手が作った捨て牌が石橋選手の手の進行を阻止したと言えるでしょう。そして更に強烈なのが、この場面。

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なんと1向聴へと手が進む3萬をツモ切りですと!!?
そう、村上選手はここで6筒を切って相手を楽にさせたり、西を切って「まだノーテンかも」と思わせることを拒絶したのです。ツモ切りし続けることで相手の手を崩す、自分の手を多少遅らせることになったとしても、相手を完全に止めることを優先したのです。ドラがあまり見えていないこと、自分の点棒に余裕があることなどの理由から膠着状態へと持っていった方が有利と考えたのだと思いますが、この状況でその判断はなかなかできるものではありません。そしてその結果、、

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相手がしっかりオリていることを確認しながら、途中ツモってきた5筒と西で見事1人聴牌を達成。一見ただの流局に見えますが、村上選手の引き出しの多さが存分に発揮された1局でした。

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そして東2局3本場。まだまだ村上選手の親は続きます。手なりで進めて6巡目、ドラ1のペン3筒待ちでリーチ!他家からしてみれば着順落ちまで見えるため非常に脅威で、そこそこの手でないと押せない、そんな心理状態を考慮に入れた村上の判断はやはり百戦錬磨の打ち手だと思います。

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しかしその「なかなかの手」を与えられていたのが多井選手。満貫の一向聴からやや危険な4索と9萬を切ってリーチ。2巡後、村上選手から4萬が切られ、満貫のアガリ。長い村上選手の親がようやく終了したのでした。

さて、ようやく東2局が終わったところですが、非常に見どころの多い局ばかりだったのではないでしょうか。個人的には村上選手の引き出しの多さに脱帽していて、同時に麻雀というゲームの奥深さを教えられた気持ちなのですが、皆さんはどうお感じでしょうか。では引き続き、東3局から見ていきましょう!

と言いたいところなのですが、翌日の仕事があるためここで今回の記事は終わりとさせていただきます。続きは今週中には書き上げたいと思いますので、気になる方はフォローよろしくお願いいたします!また、「スキ」やサポートなどもしていただければ更なる励みになりますのでよろしくお願いします。それではまた明日か明後日にでも!

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