Mリーガーの一打④その2(11/6第2試合:魔王に立ち向かう女戦士)
こんにちはこんばんは、カザラキです。
と、まずは記事が一週間遅れになって申し訳ないです!一気に寒くなって、もう毎日眠くて眠くて…。仕事終わりで書くのは不可能でした!
これからは気を入れなおして、毎週……できたらいいですね。暇なときに書きますので、皆様も暇なときに見ていただければと思います。
そんなことよりも、今週は協会、いや麻雀界に激震が走りましたね。そう、たろう選手の協会から最高位戦への移籍。トッププレーヤーの移籍なんてなかなかの大ニュースだったんですが、協会に籍を置く身としては残念以外の何物でもなく…。あらためて時間があればそれについて記事を書きたいと思いますので、興味があればご覧くださいませ。
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というわけで、今回は前回の試合の続きから、始めたいと思います。
前回は、勝又選手の秀逸な判断や、ヒサト選手の勢いのある嶺上開花などが飛び出しましたが、南1局1本場までの状況がこちら。
ヒサト選手 28300点
たろう選手 18000点
岡田選手 18900点
勝又選手 34800点
と、勝又選手をヒサト選手が追い、それをたろう選手と岡田選手が後ろから追いかける展開。そんな状況で始まる今回は、女戦士のように戦う姿勢を見せる岡田選手を主にフォーカスしながら進めていきますのでぜひお楽しみください!!
それではGAME START!!
まずはヒサト選手の連荘となった南1局1本場。
こちらはたろう選手の手牌。ドラが中で、赤5索を使えれば満貫手の勝負手。単純な聴牌チャンス・最速リーチを目指すなら赤5索切りもありますが、おそらくマジョリティーは4萬切りでしょう。中のポンテンで両面待ちとなり、その間に5索にくっつけば9萬を落としていく、それが最もバランスが良さそうに見えますがーーー。
たろう選手はここから何と9萬切り!!!
本人のYouTubeでの自戦解説によると、9萬が 1枚切られていて、中の出にあまり期待しておらず、最終形を9萬と中のシャボにしたくないために9萬を対子落とししつつ赤5索のくっつきに期待したとのこと。このような第3の選択ができる、それこそが鈴木たろう選手の持ち味なのです。
(ちなみにこちらが本人の自戦解説です⇩。時間があればぜひ。)
しかしたろう選手の手はそれ以後なかなか育たず、その間にリーチを入れたのはこちら、親のヒサト選手!!だがこの手牌、捨て牌が少し見にくくて申し訳ないですが、さっき2枚目が切られたばかりのカン8筒待ち。筋引っ掛けになっているとはいえ、最大で残り2枚のリーチのみの手ですが、それでもヒサト選手はノータイムで牌を横曲げ。
たろう選手とは違った、この思い切りのよさがヒサト選手の持ち味なのです。
それに対するは岡田選手。發を引いて七対子聴牌しましたが、2萬と5萬のどちらを切るか。3萬がヒサト選手の2巡目に切られていて、比較的安全そうな牌ですが、、、
岡田選手のこの表情。本心ではそこまで困ってはいないと思いますが、たぶんこれは試合を盛り上げるためのパフォーマンス。これからの麻雀プロにはこういったタレント的要素、エンタテイメント性も必要だと感じます。
……とは言え、リーチをかけるかどうかは微妙。相手は親で5の単騎リーチは少し怖いですが、、、
このリーチの是非ははっきりわからないですが、ガラクタリーチで有名なヒサト選手に対し、こういったそこそこ打点のある手でひよらずに戦う姿勢も麻雀では重要。岡田選手はまっすぐリーチと出るのです!
しかしこれに困ったのがたろう選手。この2件リーチに対して切れそうな牌といえば…
そう、2枚切れで筋の8筒くらいしかなさそうですね。しかしこれはヒサト選手の当たり牌。
手牌が開かれるとリーチのみだったのですが、裏ドラ表示牌が7萬で痛恨の7700点は8000点の放銃!これでヒサト選手が勝又選手をかわし、トップ目へと躍り出たのです。
南1局2本場。親番での怒涛の攻撃で「魔王」のペースになってきたところ、そろそろ止めておきたい勝又選手が南をポン!2索切りで少し安全を確保しつつ前へと進みます。
こちらは岡田選手。白がアンコの一向聴で、好形変化とドラを引いての打点上昇を見ての2筒切り。当然かもしれませんが、勝つためには大事な一手。
そして2巡後、引いてきた白をアンカン!ここでも攻撃的な姿勢を崩さない岡田選手。やはり麻雀は戦い、この戦士のような度胸はみなさんも見ていて心が熱くなると思います!
そして11巡目、岡田選手にようやく聴牌が入って3面張の好形リーチ!!
を放つのですが、、、
そこは鋼のメンタルを持つ大魔王、そんな新人女戦士にヒヨるはずがないのです。同巡、絶好の5索を引いて、こちらも3面張の追っかけリーチ!!!
新しく麻雀界に現れた、度胸あふれる岡田選手と、魔王として麻雀界で確固たる存在感を示してきたヒサト選手、果たして勝つのはーーー。
やはり魔王は強かったのです。2巡後に4索をツモって4000点オール。これで持ち点は50000点を超えて、2位の勝又選手とも20000点の差。今期絶好調のヒサト選手、大トップを目指して、まだまだ攻める気満々です。
一方、こちら相手の手を確認しながら、ゆっくりと4000点を払う岡田選手。
…かなり入り込んでいるいい表情ですね。先ほどのエンターテイメント性あふれるリアクションとは対照的に、こういった真剣な勝負師の表情も見せてくれる、やはり視聴者側としてはそんな側面を見せてくれる方がMリーグを楽しめると思うのです。
南1局3本場。何とか挽回したいラス目のたろう選手が10巡目に満貫リーチ。
しかし同巡、中を鳴いている勝又選手のこの手牌。3索切りで聴牌ですが、役は中のみの1000点。
みなさんならどんな判断を下すでしょうか。自らは2着目で30600点持ち、5800点持ちでラス目のたろう選手からリーチが入ったところ、こんな安手ではリーチに打ちたくないところですがーーー
なんと勝又選手はここで押しの一手を選択!たろう選手と同じ 1−4索待ち!
これにはたろう選手も自戦解説で「何で押したんだろ?」と不思議がっていましたが、やはり前回の滝沢選手や亜樹選手の今シーズンでの打ち方の変化を見ていると、風林火山のチーム全体で「トップに固執する」という戦略が共有されているのかなと思います。
ーーそしてその結果、アガり牌を手中に引き寄せたのはーーー
勝又選手!逆にたろう選手はアガリ牌を引き負け、勝負手を流されてしまって、かなりフラストレーションの溜まる展開に。
南2局。こちらはまだまだ攻める気満々の岡田選手の手牌。まずは中を鳴いて、満貫コースへとまっすぐに進んでいく、打2索。
しかし2巡後、ヒサト選手も聴牌。赤5筒を切ってリーチ…
…は当然してはいけませんね。ガラクタリーチが得意技のヒサト選手でも、さすがにトップ目での愚形リーのみは打てません。堅実にテンパイ取らずの打4萬。
そうこうしている間に勝又選手も好形の一向聴。これで場は一気に緊張感を帯びてくるのです。
同巡、ようやく岡田選手が聴牌。 1萬を切れば4萬待ち、5萬か7萬を切れば2萬待ち。場には4萬が1枚、2萬が2枚。どちらがいいか…?
ここで岡田選手は1萬切り。下家と対面は2萬を持ってなさそう、下家は4萬を持っていそうで、上家はまだわからない。ただ1萬を切っておけば3萬、(5萬)、6萬、7萬などを引いたときに手替りが可能となります。
うーん、、、どちらがいいかは非常に難しいですね。そして次巡、更なる分岐点。
9萬を引いて、またも選択。9萬切り(手だし or ツモ切り)or 9萬カン、あるいはもう一つの選択として3萬切りのカン8萬切りもありますが…
「カン!」
そう、岡田選手はまだまだ攻めるのです。そしてこのカンによって開かれたドラ表示牌がーーー
来たーーーーーーーー3枚持っている6萬が新ドラ!!
手牌は一気に跳満へと姿を変え、場は更なる緊張感を帯びるのです。
しかし!そんなカンごときでオリられるか!萬子のホンイツが濃厚な岡田選手に対して、堂々と2萬を切って「リーチ」と低い声で宣言したのは「ゼウス」ことたろう選手。前巡に現物の1萬を切って安全に進めることもできたのですが、強気の選択。
そしてそんな危険な2萬を目の前で切られた岡田選手。危機せまるような勝負師の目つきでギロッと睨みつけるのです。
見て下さい、この鋭い眼差しを!⇩
あーーー間違ったーーー。これじゃない!
こっちですね!↓
はい、失礼しました。
さて、親リーチを受けた岡田選手はまっすぐと前を見つめながら、全く安牌のない手牌とともに、危険牌の3筒、4筒を覚悟した表情でツモ切り、結果、その打牌に声はかからずに局が終了するのでした。
南2局、流局。
続く南2局の1本場。次こそはとまずは岡田選手が10巡目にメンピンドラ1のリーチ!!
しかし同巡、ヒサト選手も6索を切っての同じ5-8索待ちでダマ聴牌!岡田選手のアガリを幾度となく潰してきたヒサト選手、ここでもまた岡田選手の前に立ちはだかるのでしょうか。
いやいや違うのです、今の岡田選手にとっての最大の敵はこの人、鈴木たろう選手。前局ハネマンが軽く見えているところに超危険牌を切ってきたこの方が、ラス目の親番で普通のリーチにひよるはずがないのです。恐怖の3面張で追っかけリーチ!!!
そして岡田選手の一発目のツモが・・・・
たろう選手への放銃牌となる4筒!!
肌感覚で危機を察知していたのでしょうか、河にそろっと牌を置き、ロンの声がかかると同時に見せたこの表情。
さすがにこれは仕方ない放銃なのですが、こういった苦悶の表情はやはり麻雀の怖さと面白さを演出してくれます。
岡田選手からたろう選手へ12000点の点棒移動。
リーチを掛けていた岡田選手はついに点棒がマイナスへとなり、一方のたろう選手はようやく勝負手が実ってトップになるための狼煙を上げたのでした。
そして南2局2本場、ここで更に岡田選手に不運が訪れます。
―――こちらは5巡目の勝又選手。早くもドラの發が暗刻になり、9索を切るのですが……ここで大切なのは、鳴くかどうかを決めておくこと。5-8索を鳴いて1萬単騎は取った方がいいかもしれませんが、3萬鳴きは微妙…?みなさんならどんな判断を下すでしょうか?
と、ちょうどそこに3萬が出たのですが、勝又選手は鳴きが有利と判断。6索を切って一旦7索単騎の仮テンを取るのです。
さて、この鳴きはどう考えればいいのでしょうか。個人的にはなかなか声が出そうにないのですが、その是非は果たしていかがなものでしょうか。鳴いた場合の主なメリットと言えばその瞬間に聴牌が取れることと、待ちがある程度選べること。しかし逆にデメリットと言えば、打点が固定されることと、あまりよさそうな待ちにならなそうなところ(1-4索への変化と、1枚切れの東・中あたりが待ち頃ですが、123の鳴きでは後々警戒される可能性も高そうです)。
うーん、たろう選手も自身のYouTubeチャンネルでこの鳴きにはびっくりしていましたが、たろう選手でも答えを出すのは難しそうでした。ルールにも対戦相手にもよると思いますが、ぜひこれは皆さんで答えを出していただければと思います。
そして手替わりがないまま進んだ2巡後、三色を見切って一気通貫へと向かった岡田選手が5・7索と落としたところで、勝又選手がロン。
がっくりと肩を下ろすドラ暗刻の8000点放銃!
岡田選手は更なるマイナスの世界へ、そして勝又選手は安心してヒサト選手の追撃態勢へと舵を切れる大きな大きな加点となったのでした。
そして岡田選手にとって最後の親番である南3局。
なのですが、勝又選手に逆転させるものかと、早くもヒサト選手が3巡目に中をポン。4筒と5索のくっつき一向聴に構えます。
そして次巡、6筒を引いて聴牌。あまりアガれそうにはありませんが、とりあえずカン5筒に受けるのですが…。
その2巡後、早くも勝又選手が追いつくのです。絶好の2筒を引いて迷いなくリ―――――チ!!
するのですが……その直後!
ヒサト選手が望外の5筒ツモ!!!
トップは絶対に渡さないという気持ちが牌に乗り移ったかのように、大きな大きな400点.700点をアガるのです。
そして南4局、この点棒状況でやはり注目するのは勝又選手がヒサト選手を逆転できるかというところ。親番の勝又選手が4000点オールを引けばヒサト選手を逆転できるのですが、先にリーチを掛けたのは岡田選手。もう着順アップの可能性は実質ないということで、試合を終わらせに行くリーチのみの1-4筒待ち。
勝又選手にとってはいくら振っても逆転は99%ないため、放銃自体に恐れはないのですが、嫌なのは誰かにアガられてその瞬間半荘が終わること。ここはきっちり「アガれる」待ちにして逆転を狙いに行きます。
しかしこちらにもリーチにまっすぐ向かっていく選手が。そう、最後までヒサト選手です。こちらも倍満以上でなければ岡田選手に放銃しても問題なし、逆に振り込んだほうがトップが確定して嬉しい、ということで危険牌をバシッと切ってリーチ!と出るのです。
しかしそのリーチ宣言に反応して、勝又選手も素早くチー!ヒサト選手と岡田選手のどちらにアガられても半荘は終わってしまう、そんな思いからまずは3萬をチーして、何とか連荘を目指します。
そして2巡後、7萬を引き入れ、ついに聴牌を果たすのです!!片アガリドラ待ちですが、これがまさかの3枚残り!!!リーチ者二人がツモ切る可能性も十分にあり、ヒサト選手から出れば一気に逆転勝利が見えてきます!
そして岡田選手、ヒサト選手、勝又選手の互いに一歩も引かない攻防はようやく結末へ――――
「ツモ。1000.2000。」
やはり最後までこの人でした。ヒサト選手が自らの手でアガリ牌をツモり上げ、半荘をトップで締めくくるのでした。思い返せば親番での爆発力が決め手となった、そんな半荘だったように思います。
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そして試合後インタビュー。まずは岡田選手。
やはり前回の記事でお伝えした、東4局のドラのペン7筒リーチを打てなかったことを後悔している様子で、それを払拭するように攻めの姿勢を貫いたそうです。
しかしヒサト選手、たろう選手、勝又選手という麻雀界のトッププレーヤーたちを相手に、個人的には堂々とした立ち回りを見せてくれたと思うんですが、皆さんはいかがだったでしょうか?
まだ技術的には他のプレーヤーには見劣りするかもしれませんが、麻雀はやはりメンタルスポーツ。この舞台で勇猛果敢な闘牌を最後まで続けた岡田選手は女流雀士の中でも将来有望なのではないかと思います。
そしてヒサト選手。
今季5勝目を挙げた「魔王」、やはり強いですね。本人は親番で岡田選手を追っかけリーチした475索待ち、これをツモリあげたことが最も大きかったといっていますが、やはりヒサト選手は親番での強さが特徴だと思います。その素早い打牌でアガリまで一直線へ向かっていく、ヒサト選手が親番の時にそれを止めるのはかなり困難でしょう。そんな真っ直ぐな姿勢に魅了されるファンも特に多い(特に男性が多い印象ですがどうでしょう?)と思いますが、皆さんはどう感じたでしょうか?
はい、今回も最後までお読みいただきありがとうございます!寒くなって若干投稿ペースが落ちてきたんですが、うまく省エネしながら書き続けたいと思いますので今後もよろしくお願いします!またフォローや「スキ」、サポートなどをしていただければありがたく思います。それではまた!
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