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NAGAに麻雀を教えてもらおう!!(その1:超序盤の打牌選択①序盤はとにかく受け入れMAX!)

どもです!
前回の記事でも言った通り、そろそろ記事を書こうかということで、今回から新シリーズを書いていこうと思います!
その名も「NAGAに麻雀を教えてもらおう!!」。まあ内容そのままのタイトルで、私自身が打った天鳳の牌譜をNAGAに添削してもらい、気になった部分を記事でシェアするというもの。最近1年くらいはほとんど記事を書いてなかったのでうまく書けるかはわかりませんが、NAGAの思考が徐々にわかってきて、できるだけ皆様にもお伝えしたいと思いますので、どうぞお読みくださいませ。

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自己紹介&NAGAの紹介

と、その前に初めての方への自己紹介から。

成績など詳しくは前回の記事を読んでいただきたいのですが、私は「カザラキ」という名でプレイしている、現在9段の天鳳民でございます。今まで約4000半荘程度鳳凰卓で打っていて、少し前に念願の10段に昇段、どこかで天鳳位になれないかなーと思ってるんですけど、まあ難しいですね。2年前から日本プロ麻雀協会に所属していて、一応は麻雀プロと言われる存在ですが、何かしらタイトルを獲って、早く本物の「プロ」と堂々と言える存在になりたいもんですね。

というわけでそんな私がレベルアップのために教えを請うのがNAGA

こちらも知らない人のために簡単に紹介すると、NAGA(Neural Architectural Game Agent)はニコニコ動画でお馴染みのドワンゴ(DOWANGO MEDIA VILLAGE)が開発した麻雀AI。麻雀AIは他にもMicrosoftが開発した「Super Phoenix」 や水上直紀氏が開発した「爆打」がありますが、NAGAの実力はその中でもトップクラス。なんと天鳳において特上卓だけで10段を達成し(鳳凰卓で達成するよりかなり難易度が高い)、成績だけ見ればトッププロ、いや全ての人類を超えているのです!!

はい、そんなNAGAですが、最近、天鳳をプレイする人なら誰でも(お金を払えば)牌譜を見てくれるというサービスを始めたんですね。具体的にいうと、天鳳で麻雀を打った時に残る麻雀の記録(牌譜)のURLを送れば、自分が選んだ一打に対してNAGAが正解/不正解を判定してくれるというもの。確かにまだ完成版ではなく、AIといえど全てが完璧ではないですが、現在のバージョンでも実力は折り紙付き。NAGAの指導の通り打てば、他プレーヤーに圧倒的な差がつけられると言っていいでしょう!!

ただし!そんなNAGAの唯一かつ致命的な弱点といえば・・・そう、結局のところコンピューターであるため、質問は一切受け付けていないのです・・・。さらになぜ選択肢Aが選択肢Bより優れているのか、その理由については一切教えてはくれません。NAGAにできるのは、実際に起こった1局で、実際にあなたが放った一打が適切かどうかを算出する、それだけです。あなたが1週間思い悩んで辿り着いた「2人が攻めてくる状況なら守備的に打つべき」などのざっくりとした経験則が有効かどうか、そんな大局観や一般化された理論などNAGAにはありません。ザ・コンピューターであるNAGAにできるのは与えられた状況で何が正着かを無機質に導くだけ。下の「かな〜」とか「選びたい!」など、人間ぽい口調はしているものの、提供できるのは正解だけ(ただ「どの程度」正解かはその口調から判断可能)なのです。

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そこで!!!そんなNAGAの思惑を、現役天鳳プレーヤー兼麻雀プロとして、可能な限り理解し、一般化した上で記事にできればと思いこのシリーズを始めてみました。まだ十分NAGAの打ち筋を把握したわけではありませんが、少しずつその傾向がわかってきたので、今後も引き続き読んでいただければ嬉しく思います!

ちなみにこのシリーズの対象読者としては中級~上級ということになりそうですが、できるだけその打ち筋をシンプル化してトピックごとに書いているので、初中級者の方でも比較的読みやすいのではないかと思います!

というわけで第1回は、「超序盤の打牌選択」ということで、本当に第1打〜第3打くらいの、浮いている役牌を切るか、あるいは端牌のどちらを切ればいいんだ!?みたいな、よくある悩みをNAGAに聞いていきます。

それでは早速いきましょう!

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1.序盤は受け入れMAX

まずNAGAの超序盤の手組みについてわかったこと、それは・・・「受け入れMAXにする」ということ。

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南1局でやや点棒が削られたところ。7索が2枚切られてはいるものの、3巡目でこれならなかなかいい手。さて何を切りましょうか?
僕はというとこの場面で、3−6筒の受け入れは残っているし・・・という安易な考えで7筒を切ったんですが・・・

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NAGAは打白。言われてみればそうですね。8筒を引いての69筒受けならドラ含みとはいえ2枚見えのカン7索よりは嬉しい変化。むしろNAGAなら7索が見えていなくても同じ選択になりそうです。

あ、ちなみに画面の見方ですが、赤いボックスに囲まれているのが僕(プレーヤー)が実際に選択した牌紫のボックスに囲まれているのがNAGAの推奨打牌でございます。あと紫のボックスの上に出ている棒状のものはNAGAがどの程度その選択を支持しているかを示しています。この絵では1本しか出ていませんが、微妙な選択では他の候補の上にも棒が立っていて、2つの選択肢が同じくらいの長さならそれくらい判断が微妙だということです(この絵では白切りが圧倒的に推奨されていることがわかります)。

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まあ先ほどの例は少し僕がヌルかったということのあるので、続いてはこちら。南2局の西家。2巡目ですが、どうしましょうか。僕もそうなんですが、少し慣れている人なら「何となく」手牌をスリムにしようとしてしまうもの。そんな悪い習慣にNAGAははっきりとNOを突きつけてくれるのです。
というわけで1筒を切ってしまった僕に対して・・・

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はい、前回ほど差はついていないものの、やはりNAGAは打1筒ではなく打西。三色も残るし、両面も作りたいしということで先に切った1筒ですが、2、3筒を引けばやはり痛いですからね・・。特に序盤ではまだ守備を考えなくてもいいということで、受け入れMAXの打西が最適なのでした。


2.将来の役/打点よりとりあえずは受け入れ重視

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ではこちらはどうでしょう。
東2局の西家で1巡目、なかなか夢がふくらむ手牌で、ひとまずオタ風の北か、あるいは索子以外を切っていくか。さてNAGAの判断は?

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はい、やはりこちらも北切りなのです。
確かに北が被った場合は少し痛いですが、ドラが3萬で4萬を引いてきたことも判断に影響したのではないかと思います(ドラが3萬じゃなくても微差で北切りの可能性も高いですが)。もしこれが一発赤裏ドラなしのルールなら判断も変わると思いますが、これは天鳳。形ではリーチのみの手も、赤や一発、裏ドラが絡んでの満貫も十分ある以上はやはり受け入れが大きくものをいう世界なのでしょう。

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同様に、この2つのケースはどうでしょうか。上の手牌はチャンタ系の手牌ですが西はすでに2枚切れ。ただ点棒がなく、できるだけ高い手を和了したい状況で何を切るか。

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そしてこちら、2枚目の写真。点棒的には平たい状況ですが、自身の手はイマイチで普通に進めても後手を踏みそうで、さらに今のままでは高打点の可能性も低そうです。どうでしょうか、皆さんなら何を切るか、決断できたでしょうか。まあ予想はつくと思いますが、NAGAの答えはーー?

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上の手牌は、やはりダブ南といえど受け入れ重視で切っていくんですよねー。リーチツモ平和裏1も十分見える手牌。美しさよりも実利、成績を残すにはそんな意識が必要だと教えてくれます。

下の手牌も同様。実は「もうどうせアガれないしゆっくりホンイツ見ながら守備力も上げて進めるか」といった戦略をNAGAはあまり取らないんですね。中盤からはまた別の話になりますが、やはり序盤は受け入れMAX、和了率を高めるというのがNAGAの基本戦略なのです。

3.もしもの時の守備より、やはり序盤は受け入れ

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こちらはどうでしょうか。東1局の北家でまずまず普通の手牌。メンツの種は揃っていて、攻撃的にも守備的にも進められそうな手ですが、第1打に切った中が早速かぶってしまい、ツモ切ろうかとも思いましたが、どこかの有名プロが「安全牌を1枚抱えながら13枚で手を進めると守備力が安定する」みたいなことを言ってた気が・・・。僕自身もこういう安全牌は無意識に残してしまう癖があるのですが・・・。

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やはりNAGAに言わせればナンセンス(そのプロはルールや場況があってのアドバイスをしていたわけで、状況によって安牌残しは決して間違いではないのでご注意)。素直に一番手が進みやすい打牌をしましょう、というアドバイスなのです。ちなみに「選びたい!」はNAGAの中で多分一番強い口調なので反省が必要そうです・・。
そう、中盤から後半にかけてならまだしも、序盤において守備は基本的に考えなくていい、というのはNAGAでよくあるアドバイスですね。よく麻雀初心者に、「わからないときは字牌から切っていけ」ということがありますが、受け入れを広くする字牌切りは序盤においてはかなり重要なポイントです。

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それでは最後にこちら。これは今までで一番難しいと言ってもいいでしょう、1巡目のこの發を鳴くかどうか。これは打ち方のスタイルにかなり影響される判断ではあるものの、NAGAが推奨するのはーーー。

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安くて遠い仕掛けはNG」と多くの戦術本では言われていて、実際NAGAの答えを聞いた後でも、個人的にこんな手牌では仕掛けたくはないのですが、NAGAは元気よく「ポン!」と言うのです(ちなみに棒グラフの真ん中の線より上なら鳴き推奨、下ならスルー推奨)。
まとめると、やはり序盤は守備は考える必要はなく、受け入れの多さが最も重要。そして相手からのカウンターが来ればすぐにオリる、そんな戦術を駆使しながらNAGAは勝ってきたのです。

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ただ決してこの戦術が最適というわけではなく、Mリーグの黒沢さんのように腰を重く高打点を狙う戦術もルールや状況によっては最適解になります。つまり様々な場面で様々な戦略の引き出しを使うということが大事なわけで、このようなNAGAの判断はきっと自身の麻雀の可能性を広げてくれているのです。いやー、麻雀って奥深いですね。

はい、というわけで第1回は「超序盤の打牌選択」についてNAGAに教えてもらいましたがいかがだったでしょうか?初めにも言った通り、決してNAGAの判断が全てではなく、天鳳を主戦場とするNAGAの選択が当てはまらない環境やルールも当然あり、天鳳で戦うとしてもNAGAとは違う選択が将来的に正解となることも十分考えられます。ただやはり結果を出しているNAGAの判断は決して無視することはできず、もし自分と全く違う答えであっても、NAGAの打ち筋を自分の引き出しに入れておく、それが雀力アップの近道になることは疑いないでしょう。

ではこのあたりで今回の記事は終了となります。また近いうちに第2回を書きたいと思いますので「いいね」ボタンと、フォローがまだの方は是非お願いします。まだ全く陽の目を浴びていませんが、放送対局に出る機会があれば麻雀プロとしても応援しただければありがたいです。それではまた!!




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