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【その4】家族ではなくチームとして生きる

この内容は、妊活・子どものことに関する内容です。
あくまで一個人の考えであることを理解し、読み手の気持ちを尊重してください。

施設を訪問してから1週間ほどたった日に、職員さんから電話がかかってきた。

「お願いしたい子がいます。
男の子で、まだ幼稚園生です。
あと…」

職員さんが言葉を選んで、次に出てきた言葉が
「海外の血が入っています。
大丈夫ですか?」
ということだった。

その時はひとりだったので、夫に確認して再度連絡をする旨を伝え、電話を切った。

週末里親を検討した時に、なぜだか「一人っ子の日本人」を想像していたのは、自分自身がそうだからだろう。
両親のどちらかが海外の方というパターンや他の環境下の子どもがいることは、私にとってはどこか他人事のようだったと感じる。

けれど最近、軍人や軍属男性との間に子どもができ、認知・養育をされないパターンがあるという記事を読んだ。
逃げてしまった人たちに養育費の支払いを求めるべく、元軍人の弁護士女性がいるという記事で、多くの人が彼女の手助けを受けた。

こういった状況を例に、海外の血が入った子どもがいること。
また兄弟揃ってのパターンや、知的障害を抱えている子なども施設にいることを、私は想像もしていなかった。
よくよく考えればこれだけの子どもが集まるので、確率的にありえるのだが、あまりにも自分の想像力の乏しさに愕然とした。

そして夫が帰ってくるまでの間、職員さんの言った「大丈夫?」が何なのか考えてみた。

「親戚の子」という紹介が通じにくくなる

事前に調べてみた時に、週末里親で預かっている子を、「親戚の子」として紹介していると書いてあった。
確かに子どものいない家庭に、いきなり子どもが増えるわけだから、知人に会った時、説明が面倒でそう伝えることもあるらしい。

国籍は関係なく、海外の血が入っていることで、そうした説明ができなくなることへの懸念なのだろうと予測する。
私は問題ないけれど、夫はどう感じるだろうと思いながら帰宅を待った。

そして帰宅した夫に、海外の血が入っていることを伝える。
すると、
「ふ〜ん、でも同じ人間じゃん」
というあまりにも器の大きい一言が返ってきた。

そして、それを聞いた私もまた
「確かに私も猫の柄や性別は問わず、全員保護するな」
と何でもかんでも猫に繋げて考えて、納得したのであった。

その時、夫とは
「そもそも親戚の子って伝えることが、その子にとっていいのだろうか」
という話になった。
これについては私も考えていて、できれば「親戚の子」とは紹介したくないと思っていたため、話し合った。
その結果(といっても5分もないぐらいだけど)、
「子どもに嘘はつきたくないから、"預かっている子"という紹介にしよう。
そもそもうちは猫をずっと預かってるから、みんな"預かってる"という状況にたいして疑問を持たないだろう。」

という結論に至った。

いや、人間と猫は違うよ!というツッコミはおいといて、何となく私たち夫婦らしい受け止め方だなとも思った。
その時点で国籍も、肌の色も、目の色も分からなかったが、最初から拒絶するのではなくて、その子を知って考えようと思った。
私たち夫婦は、結構「百聞は一見にしかず」という、ことわざ通りに生きているところがある。

そして、私たちはその男の子の週末里親として、スタートすることになる。
とはいえ、いきなり預かるわけではなく、段階を踏む。

  1. 施設に1時間ほど遊びに行くのを何日か行う
    この間に職員さんの家庭訪問がある

  2. 一緒に数時間外出・自宅で過ごす

  3. 慣れてきたら時間を延ばしたり1泊する

  4. 週末だけでなく、冬休みや夏休みの間など希望すれば泊まりに来る

反抗期はどうなるの?

私たちが「会いたい!」と希望しても、子どもがOKしてくれないパターン、反抗期がいずれやってくる。

私たちは最初の訪問の時に、職員さんに聞いてみた。
すると
「双方が希望した日ではないと行くことはできないが、いつか反抗期で会いたくないと言われたとしても、里親さん側が会いたいという姿勢は崩さないで欲しい」
と言うことだった。

そもそも反抗期というのは、他人にはやらない。
「この人ならワガママを言っても、見捨てたりしない」
という信頼があるからこそ出来る態度だ。

そして、子どもたちは「見捨てられる」という経験を、すでにしてきた子も多い。
だからこそ、里親は「いつでもあなたを思っている、希望すればいつでも会ってもいい」という姿勢を見せ続けることが大切だという。

例えば誕生日やクリスマス、そういった行事には必ず手紙を送るなど、物理的な距離ではなく、精神的な距離で常に見守り続けるのだ。

そう思うと、なんだか反抗期すら楽しみになってくるから不思議である。

こうして、私たちはその男の子(Aくん)と初めて会うことになった。

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めんま
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