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【その5】家族ではなくチームとして生きる

この内容は、妊活・子どものことに関する内容です。
あくまで一個人の考えであることを理解し、読み手の気持ちを尊重してください。

Aくんに会う前に、私たちがしなくてはいけないことがあった。
それは、双方の家族に報告することだ。

週末だけ預かるのであれば、会う機会も少ないため、わざわざ報告することではないかもしれないが、私たちは自宅から車で30分の距離に実家があった。
そして、お歳暮やお中元を贈り合う代わりに、年2回両家で飲み会を行うという行事もある。
その他にもそれぞれの家族と食事をするなど、交流の機会が多い。

隠すつもりはなかったし、家族・親戚で行われる「法事」や「お墓参り」など、私たちの人生に身近にあった行事を、Aくんにも体験して欲しいと思っていた。

それぞれの両親には、別々に報告した。

夫のご両親への報告

夫の家族(両親・兄妹)には、2回にわたって報告した。

まずは1回目は施設に訪問する前に、食事の席で報告した。
・週末里親を始めようと思っていること
・週末里親とは何ぞや
・来週、施設に話を聞きに行くこと

この「週末里親」という制度自体を知らない人がほとんどなので、まずはいつもその説明から入る。

夫の両親には、しっかりと「子どもを産む気がない」とは伝えていない。
何となくこれは私の口から言うことではなくて、夫から報告することのような気がしていて、夫もそれについて特に明言はしていない。

結婚前に一度だけ「孫が生まれたら面倒見れるよ〜」と言っていたが、何となく「そういう普通と言われる人生を望むような女ではない」と、結婚を機に気づいていると思う。
結婚することも、籍を入れる1ヶ月ぐらい前にいきなり報告して、結婚式をしない代わりにフォトウェディングをしたのだが、その写真もいわゆる"よくあるパターン"では無かったからだ。

何となく「産まない」と宣言をすることが、もしかしたら義両親を傷つけてしまう一言になるかもしれないと、夫も思っているのかもしれない。
けれど、ここで週末里親の話をしたことで「産まない選択をした」というのは義両親も感じ取っている気がする。

1回目の報告の時は、私たちがまだ週末里親という制度について、よく知らなかったこともあり、「分からないから聞いてくる〜」程度で終わった。

そして2回目の報告は、すでにA君と1回目の面会をした後だった。
内容は大きく以下の通り。
・児童養護施設の現況
・すでに担当する子が決まったこと
・血縁に日本人ではない人がいること

どんな子だったのか、何をして遊んだのか、そんな話をした。
「会うのが楽しみ〜」
そんな言葉をもらって、報告は終了した。

施設の子どもと触れ合うことについて、特に否定も肯定もせず、やんわりと受け止めてくれた。
もともと私が保護猫のボランティアをしているのもあり、「次は人間か…」ぐらいに思っているのかもしれない。
さすがあの器の大きい夫の両親だなとも思う。

妻の両親への報告

私の母は、歳をとって涙もろくなった。
居酒屋に行き、お酒を飲み、
「本人の目の前で悪いんだけど」と前置きをつけて、「できることなら子育てをもう1度やり直したい」
と泣くのが定番の件である。

母は「子育て」に向いているタイプではないが、頑張って実子を(物理的な意味で)大きくさせようとはしていた。
しかし仕事が多忙だったこともあり、心の成長には寄り添えなかったことを、ずっと後悔している。

だが、難しいのも無理はないと思う。
母の思う「女の子の子育て」というレールを、私はことごとく外れてきた。

「きっと女の子なんだからリカちゃん人形が好きだろう」
と買い与えても、すぐに洋服を剥ぎ取り、足を180度開脚させて、ものの3分で投げて興味をなくす子どもだったので、おままごとなんて持ってのほか。

大好きだったのは、口から吐血しているクマの「グルーミー」や連続殺人鬼が人形に乗り移った「チャッキー」
ハリーポッターでは「マルフォイ」が1番好きだったし、唯一両親に頼み事をしたのは「ダレンシャン(ヴァンパイアの少年の小説)のサイン会に行きたい」だった。

「子育ては思い通りにいかない」
というのを、身をもって体験したのが母である。
(ちなみに父は早々に子どもの好みを把握し、バイオハザードを買ってくれたし、グルーミーの(「コブラツイストであの世行き」という血文字が書かれた)Tシャツを着せてくれたので、それを着て小学校に通った)

そんな子育てに難儀した母だったが、だからといって私がダメな大人になったというのは1mmも思っていなくて、
「私があんなにこの子に寄り添っていなかったのに、立派な大人になって…」
と泣くのである。

ということで、週末里親について報告した時も、両親は揃って「あなたの決めたことなら応援するよ〜、頑張って!私、運動会の応援とか行きたい!」と言ってくれて、もちろん母は泣いたのであった。

もはや飲みの席で泣くのは、母のお家芸である。


どちらの両親も、私たちの選択をいつも否定せず、応援してくれることは心強くて、優しいことだなと思う。

「結婚したから次は孫だね!」
ときっと、両親たちも周囲の人から言われることだろう。

私たちのように「実子を産まない」という選択肢をとった人のなかには、きっと親族から否定的な意見を投げかけられる人もいるだろうなと思う。

そして何よりも、私がその選択をしたとしても、パートナーとなる夫がそれに同意してくれなければ、この話を進めることはできないのだ。

報告の席で、母が夫に聞いた。
「(夫)くんは、反対じゃないの?」

すると夫はこう答えた。
「僕は(妻)と違って、職場や関わる人がほとんど変わらないから、僕の世界はずっと広がらない。
けど(妻)がこうして、新しいことを持ちかけてくれることで、僕の世界も広がるかなと思って、やってみようと思いました〜。」

夫の世界を広げ続けなければいけないというプレッシャーを感じつつも、こうして同じ気持ちでいてくれる夫がいるからこそ、私は私らしく人生の選択をできるので、それは幸せなことだなぁと思う。

そしてついに、Aくんとの面会が始まる!

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めんま
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