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【その9】家族ではなくチームとして生きる

はじめての家庭訪問

そして家庭訪問の日がやってきた。
夫は仕事に行ったため、私ひとりで対応した。

まずは、リビングに座って話をする。
最初の訪問時にも聞かれたことだったが改めて、私と夫の名前・年齢・趣味・職業などを聞かれた。
夫の趣味が草野球ということもあり、私たちは週末にグラウンドや球場のある公園に出かけることが多い。
担当の子どもを職員さんたちが選ぶ時、きっとこれが理由でパワフルで元気いっぱいのAくんになったのだろうと思っている。

その後、さらっと自宅のなかを見て回られて、(そんなに必要なさそうだったけど、私から全部屋紹介した。見られて困ることもなかったし。)30分ぐらいで家庭訪問は終了した。

Aくんが施設にきた理由

多分ここまで読んだ人の中には
「そもそも何でAくんは施設にいるのだろう」
と思っている人もいると思う。

他にも
・いつから施設にいるのか
・実親は面会しに来ているのか
・実親が迎えに来る可能性はあるのか
といった疑問があるが、当初これらの理由を職員さんが話せる範囲で聞いたほうがいいのか、夫と相談した。

最初に施設を訪問してから約4ヶ月が経過するが、今だに私たちはその理由を知らない。
夫と相談した結果、聞かないことにしたのだ。

もしかしたら虐待だったのかも、もしかしたら生活が困窮していたのかも、いつか迎えに来るのかも、そんなふうに思ったとしても、私たちがAくんに向ける対応や愛情は変わらないし、変わっちゃいけないと思った。

だから私たちからあえてAくんや職員さんには聞かず、先方から話をされた時のみ聞くというスタンスにした。

「預かっている子」がいい答えなのか

また何回かAくんと遊んでいるうちに、もし外出先で知人と出会って「預かっている子だよ」と紹介をするのが適切な答えなのかどうか考えるようになった。

最初のうちは「預かっている子」という答えが妥当な気もしていたのだが、その言葉だと私たち夫婦とAくんとの間に、どこか線が引かれているような気もする。
とはいえ、「私たち家族だよ〜!」と初手からいうのも、何だかおこがましい。
そもそもAくんの心のなかには、実親という家族がしっかりと存在しているかもしれず(この点についてはまだAくんから実親についての話は聞いていない)、いきなりやってきた私たちが「家族」という関係性のなかに入れてくれなんていうのは、何か違う。

もちろんAくんが私たちのことを「家族」だと認識してくれれば嬉しいが、私たちから「家族にいれて〜!」と駆け寄っていくのはずうずうしすぎるなと思った。

考え始めて2ヶ月ぐらい経って、ようやく固まった答えが、家族ではなく「チーム」として生きることだった。

チームスポーツの習い事をしているAくんにとっても、その答えならしっくりくるだろう。
チームは家族ではないけれど、味方だ。

試合で勝つのを目的として、それぞれのポジションで役割を果たし、協力しなければ点を取ることはできない。
そのためには、みんなで同じ目的に向かうことが大切だ。

だからもしAくんと一緒に外出している時に、知人に出会ったら
「我が家にチームインしたAくんです」
と紹介することにした。

こうして我が家に、新たなチームが出来上がった。

Aくん語録

Aくんと出かけていて記憶に残る発言があったので、残しておきたいと思う。

・(Aくんは恐竜が好きなので恐竜絶滅の話をしていた)
「もしかしたらまた隕石が落ちて、僕が生まれ変わったら、次は恐竜になって生まれてくるかもしれない」
→ちなみにAくんは強いティラノサウルスに生まれ変わりたい。夫は仲間と協力して獲物をやっつけられるからラプトル、私は泳いでたい〜とモササウルスを希望した。(なんのこっちゃ)

「ふたり(私と夫)でソフトクリーム食べたら?」
→多分自分が食べたかったのもあるだろうが、12月の真冬の公園でソフトクリームは死ぬど。

・(夫が野球ボールやサッカーボールを空高く上げるのを見て)
「飛行機にあたらない(高さ)ぐらいまで飛ばして!」
「雲に乗らないように飛ばして!」

→子どもと生活を共にしていると、子どもの純粋さでびっくりする発言が出てくるというのを、SNSでよく見ていた。
これを聞いた時に「こっこれが子どもの純粋さから出てくる名言か!」とびっくりした。私の幼少期にはなかった。

「ごめんくださ〜い!」
→公園に行って散歩している犬を触らせてもらう時に、なぜかこの声かけだった。どこで覚えてきたん。おもろ。

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めんま
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