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【その11】家族ではなくチームとして生きる

あっという間に今年も2ヶ月が終わろうとしているというのに、週末里親については年末の出来事で止まっている。

焦る気持ちはありつつも、少しずつ遡って書いていこうと思う。

クリスマス

クリスマス間近となり、プレゼントを渡す時がやってきた。
だが、その日はお出かけにノリ気じゃなかった。
やはり彼のなかで知らない大人2人に、車に乗ってどこかへ連れていかれるという状況が不安だったのだ。
ただ「クリスマスプレゼントを買ってもらえる」という欲には勝てず、「今日は早く帰りたい」と言って車に乗り込んだ。

本屋に向かうまでの間、一緒に後部座席に乗った横の私に見えないように、こっそり泣いていた。

私は狼狽えることもなく、「泣いてんなぁ」と思って気付いてないフリをした。
彼なりに気持ちの整理をつけているだろうから、見守ることにする。

本のプレゼント

本屋さんに到着すると、恐竜の化石(おもちゃ)を発掘する石膏付きの本を彼は選んだ。
もうちょっと文学的な本を選んだら?という私の気持ちなどガン無視の選択である。

「これにする」
そういってレジに行くも、私は悩んでいた。

これを買ってまた施設に戻ったとしても、他の子の前で発掘するわけにはいかない。
そして私はそのおもちゃの大変さを知っていた。

遡ること2年ほど前に、恐竜好きの夫が同じようなものを買い、服は真っ白・大きな音がガンガン鳴り、振動轟くパワフル発掘体験だったのだ。

・・・これは職員さんたちの手を煩わせるだけだ。

手に持った時点で、彼はもう家に帰って遊ぶ一択だったが、「そうは言わず公園に行こう」と誘い、公園の広場でやることにした。
外は極寒、真冬の屋外である。

レジャーシートを敷いて、3人で発掘が始まった。
ドンドンガチャガチャ、3人で真っ白になる

彼が帰りたいと言っていた14時ごろになったので聞いてみる。
「どうする?もう帰る?」
すると、彼は
「ううん、このままやる。
今日何時にお家帰るって言った?
ぼくまだ帰りたくない。」
と言ったのだった。

もうその頃には最初の緊張も解け、遊ぶのに夢中である。
私たちへの警戒心もなくなり
「ぼくね〜今日実はちょっと緊張して車で泣いちゃったんだけど〜もう大丈夫!」
と泣いたことすら自分で薄情するのであった。
何となく「男児の素直さに笑ってしまう」というエピソードを話す保護者たちの気持ちがわかった。

靴下のプレゼント

発掘作業を始める前に、用意してあった靴下のプレゼントを
「実はもう1つプレゼントあるんだよ」
と言って渡した。

「何?」と聞く彼に靴下の入ったプレゼントを渡す。
ちょっと恥ずかしそうに、戸惑いながら袋を開けると靴下が出てきた。
その日、私も夫もお揃いのパン柄の靴下を履いていたので、すぐにAくんは
「同じ靴下だ!」
と気付いてくれた。

しかし私が「これ何のパンだと思う?」と聞くが「わかんない」
「これフランスパンっていうの、知ってる?」と聞いても「わかんない」
と「わかんない」の答えが返ってくる。

後日子持ちの友人にこのエピソードを話したところ、「わかるわぁ〜〜〜」と笑っていた。
友人の子供も親戚にプレゼントをもらった時、恥ずかしさと、どうやって嬉しさを表現すればいいのかわからず、たどり着くのが「わかんない」とのことだった。

この時の感情を、まだしっかり整理して話すことができないと思うので、もう少し大きくなったら、この時の気持ちを聞いてみたいなと改めて思った。


結局3時間ほど公園で化石発掘をして、真っ白になって彼は施設に帰って行った。
帰るころには警戒心も解けて、「公園で遊んでから帰りたい」と言っていたほどだったが、時間になったので帰った。

ちなみに次に会った時、すでに発掘した恐竜の前足がどっか行ったと言っていた。
聞いてないけれど、一緒についていた本は1ページも読んでないと思う。
まぁ、そんなもんだよね。
期待通りにはいかないのが人間だから〜。

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めんま
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