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『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』1巻発売記念!オンライントーク会レポート

講談社「モーニング・ツー」で大人気連載中の『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』。

主人公は、ひょんなことから医療魔法が独占された異世界に転移してしまった現役医師・天海唯人。そんな彼が、わずかな医療器具と自身の知識で、病魔や怪我に立ち向かう様子を描いた本作。

新感覚の「異世界」×「医療」ファンタジーとしてはもちろん、現役医師にして「小説家になろう」出身の作家でもある津田彷徨先生が原作・医療監修を担当、そして気鋭の新人・瀧下信英先生が作画を務めたことでも大きな注目を集めています。

待望のコミックス第1巻が発売されたことを記念し、00:00 Studio(フォーゼロスタジオ)に原作者の津田先生をお招きしてオンライントーク会を開催しました。

当日は、ファンの間ではお馴染みの“マスクドツーダ”の姿で登場し、その場を沸かせた津田先生。

津田先生「大事な時に被るマスクなんです!決して顔を隠すためではありません!笑」

本記事では、大盛況だったオンライントーク会で津田先生が明かした『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』の創作秘話や見どころについてお届けします。

<プロフィール>
津田彷徨|日本消化器病学会専門医。内科医として勤務する傍ら、2012年に執筆活動を開始。2013年から「小説家になろう」にて書き始めた『クラリス戦記』は、数度の改題・改稿を経て戦記ランキングで1位を獲得。その後、2014年に『やる気なし英雄譚』で商業デビュー。『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』で初の漫画原作を担当。
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もはや現代医学がチートであり魔法......“こいまほ”誕生の裏側

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』1話より

ーー  通称“こいまほ”と呼ばれる本作は、チートなし・現代設備なしの「異世界」×「医療」ファンタジーという、これまでの異世界ものとは異なる切り口で大きな話題を呼んでいます。まずは、本作誕生のきっかけを教えてください。

もともと僕は、医療ものを書かない作家だったんです。普段、内科医として勤務しているので、プライベートの時間まで医療のことを考えるのもな...と(笑)。ですが、『FGOミステリー小説アンソロジー カルデアの事件簿』で医療ものを書いてから、その抵抗感が無くなったんです。それで、医療もので何か書きたいなと思っていたら、タイミング良く講談社さんからお声がけいただきました。

異世界と医療の組み合わせについては、僕が「小説家になろう」出身で、異世界ものをたくさん読んだり書いてきた人間なので「異世界 × 医療ものを作れる人ってあまりいないから、これは強みになるんじゃないか?」と、ふと思い立ち...。そこから企画書を作ったのが始まりですね。

ーー「異世界ものだけど、チートや魔法ではなく医療で立ち向かっていくところが面白い」という感想を多く見かけます。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』というタイトルは、SFの巨匠・クラークさんが提唱した法則「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。」 がモチーフになっているんです。

モチーフとなったこの言葉から考えると、現代医療は充分に発達している部分があるので、もはや現代医療自体がチートであり魔法なんじゃないかなと考えています。

ーー現代医療といえば、作中に登場するリアルな治療シーンには思わず目を奪われます。

治療シーンは、実際に外科の先生に「もしもドラゴンの手術をするとしたら、どういう風になりますかね?」と相談しながら書いています。最初は「何を言っているんだ?」という顔をされましたが(笑)。治療シーンは色々な先生にお世話になりながら、作り上げています。

キャラクターの名前に隠された、とある法則

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』2話より

ーー唯人が転移した異世界には、コロネやキマイラといった個性豊かで魅力的なキャラクターがたくさん登場します。キャラクター作りのこだわりはありますか?

実は、僕が書いている他の小説でもそうなんですが、名前だけは“ある法則”に基づいて決めているんです。今回もそれを遵守しています。

ーー津田先生は主人公の唯人と同じ医者でおられますが、唯人と似ているなと思う部分はありますか?

お酒を飲まなくなったところですかね。万が一緊急事態が起きて、病院から呼び出されても大丈夫なように、基本的にお酒を飲まないようにしています。これは唯人にも課しているんですけど(笑)

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』1話より

ーー確かに、1話の飲み会のシーンでも唯人は全くお酒を飲みませんし、途中で病院から連絡がきてすぐに抜けますよね。

唯人が途中で抜けるシーンは、僕の実話からきています。担当編集さんと初めて打ち合わせした時、「はじめまして、津田です」と挨拶をしたら、ちょうど病院から連絡がきたんです。それで、打ち合わせを中止にして、急いで帰ったというエピソードがありまして...。後日、担当編集さんから「このエピソード使いましょう!」と言われました(笑)。もちろん、疾患や詳しい内容は変えていますが。

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』1話より

医療シーン以外は口を出さない、原作者としての自分のルール

ーー作画の瀧下先生とは、どのようなコミュニケーションを取られているのでしょうか。

まず、僕が瀧下先生に最新話の脚本をお渡しして、それ以降はすべて瀧下先生にお任せしています。これは自分の中のルールなんですが、医療シーン以外は口を出さないと決めていて...。その方が、瀧下先生の世界観をのびのびと表現できるし、結果的に良い作品になると思っています。

医療の仕事でも、それぞれの専門家が集まってチームを組み、一緒に病気を治療していくことがあるんですけど。それと同じで、漫画の専門家として瀧下先生に委ねている感じですね。

ーー絶対的な信頼があるんですね。瀧下先生の手によってご自身の物語が漫画になった時、感動したシーンはありますか?

4話のタイトルバックが入るシーンです!見た瞬間、もう「ありがとう」しか言葉が出なかったですね。

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』4話より

このタイミングでタイトルバッグを入れたのは、担当編集さんからの提案でしたが、それをここまで仕上げて下さったのは本当に凄いなと思いました。これを見て、慌てて手前にある人間と神様の歴史の文章を修正させてくれとお願いしました(笑)

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』4話より

ーーキャラクターだといかがですか?

これから登場するんですけど、サイアというキャラクターですね。実は、仕事の邪魔になると思って、瀧下先生には必要最低点の連絡しかしないようにしているんですけど、サイアが登場した時は「瀧下さん!これは素晴らしいですよ!」と連絡してしまいました(笑)

実は、サイアは男性のつもりで書いていたんです。でもそれを特に言及しないでいたら、瀧下先生が女性として描いてくれて...。そのサイアを見た時、自分のなかの世界がさらに広がった気がします。ぜひ、サイアの登場を楽しみにしていてほしいです。

ーー医療シーン以外は、瀧下先生に全てお任せしていると仰っていましたが、まさにその成功事例ですね。

良い化学反応が起きましたね。あと、スライムとキマイラは予想外で驚きました。原作を書いている時、スライムがあんなに可愛くて動くものだとイメージしていなかったので、凄いなと。

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』1話より

あと、キマイラがすごく可愛らしいんですよね。こんなに可愛くなるんだ!と目から鱗でした。瀧下先生の絵の力ですね。

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』4話より

ーーキャラクターといえば、1話に『異世界居酒屋「のぶ」』のタイショーとシノブさんがいる!とファンの間では話題になっていましたね。

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』1話より

『異世界居酒屋「のぶ」』の原作者・蝉川夏哉先生とは友人なので、お願いして作中に架空の「居酒屋なつや」という形でカメオ出演していただきました。他にも蝉川先生には、1巻の帯にコメントを書いていただいたり...。

なのでこの場で勝手に宣伝させていただきますが(笑)、WOWOWオリジナルドラマ『異世界居酒屋「のぶ」Season2~魔女と大司教編~』5月27日から始まりますので、みなさんぜひ見てください!

治療シーンに込めた“応急処置の啓蒙”としての一面

ーー先ほど、治療シーンは実際に外科の先生方に相談しながら考えていると仰っていましたが、作中に登場する医療器具もすべて実在するのでしょうか?

現時点で登場しているものは、すべて実在します。治療シーンは、まずは外科の先生に「こういう展開を考えているけど、現実的にどうですか?」と質問をして、そこから「実在する医療器具の範囲内で」と相談を重ねてから、書いています。

ーー入念な構想のもと生まれた治療シーンが、瀧下先生の神がかった画力によって、さらに臨場感あふれるものに仕上がっていますよね。瀧下先生とはどのようなコミュニケーションを取って、この治療シーンを作り上げているのでしょうか。

アドレナリン注射を打つシーンは、使用方法などがYouTubeにアップされていたりするので、それを参考資料として瀧下先生に見ていただいたり。研修医が練習用に使う人工皮膚を使って、僕が実際に縫っているところを撮影して、瀧下先生にお送りしたこともありましたね。

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』3話より

ーー治療シーンは、怪我や病気などのダメージがあってこそですが、病症はどのような観点で選ばれているのでしょうか。1巻では、アナフィラキシーショック、異物除去などが描かれていましたよね。

実は、“応急処置の啓蒙”のような観点で選んでいて...。例えば、キマイラの異物除去のシーンを読むと、事故で釣り針が刺さってしまった時の応急処置がわかるようになっているんですよね。

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』3話より

あと、アドレナリン注射のシーンも、アナフィラキシーショックを起こした本人が打てないこともありますので。もしこのシーンを覚えていたら本人の代わりに打つなど、とっさの応急処置として役に立てたら嬉しいです。

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』2話より

ーーどちらのシーンも日常で起こりうる事故や症状ですもんね。

そうですね。反対に、医療現場でしか見れないような珍しい治療シーンも入れてみたいなと思っています。

ーー最後に今後の見どころを教えてください。

原作者視点でいうと、この先のストーリーだったり、先ほどお話した“応急処置の啓蒙”的な部分にぜひ注目して欲しいですね。あと何よりも、瀧下先生の絵を楽しんでほしいです!

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オンラインサイン会のアーカイブ

記事ではご紹介しきれなったオンラインサイン会の様子はぜひアーカイブをご覧ください。

アーカイブでは、瀧下先生がイラストを描かれている貴重なシーンも...!

<タイムスタンプ>
0:00〜オープニングトーク
13:16〜作品が誕生したきっかけ
20:08〜瀧下信英先生とのコミュニケーション
21:20〜感激したシーン
22:58〜キャラクターの創作裏話
33:41〜リアルな治療シーンが生まれるまで
36:58〜周囲からの反応やコメント
39:48〜今後の見どころ
41:05〜瀧下信英先生の作業配信&視聴者からの質問コーナー
53:53〜エンディングトーク

『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』第1巻のご購入はこちらから。

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ぜひ、00:00 Studioをお楽しみください!

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